2022年3月6日掲載
昨年に引き続き、動画サイト・YouTube限定公開の開催となる
第10回長野県歯科インプラントネットワークミーティング開催

本ネットワークの世話人および事務局を担当する栗田 浩氏(信州大)の挨拶の後、特別講演として「インプラントの医療安全から歯科医療の未来を考える」と題して矢島安朝氏(松本歯科大病院)が講演。2015~2020年における原因不明の死亡事故1,931件の中で、歯科関連の死亡事故が10件あるというデータを供覧した一方で、医科よりも歯科の医療訴訟が多いことにも言及し、国民の歯科に対する信頼が低下していることを示唆した。超高齢社会の日本で歯科のプレゼンスをあげること、そしてなかでもインプラント治療は、昨今問題視されているオーラルフレイルを予防する役割を担うことが期待されていると強調した。続いて、現在指摘されているインプラント治療の問題点として、(1)重篤な医療事故との認識がない、(2)インプラントの撤去基準がない、(3)患者の全身状態の把握ができていないことを挙げ、これらの課題を克服することがインプラントの医療安全を考えることにつながるとした。また、(2)のインプラントの撤去基準については、矢島氏が私案を提出し、視聴者および本組織と広く情報共有がなされた。
各企業からの詳細な製品説明が行われた後、症例提示として、冨士岳志氏(松本歯科大)による「インプラント体のプラットフォーム部で早期の破折を認めた症例」および清水 武氏(長野赤十字病院)による「インプラント治療における合併症とリスクマネージメント」が行われた。どちらもインプラント体の破折や下顎骨舌側穿孔などの合併症を起こした症例を供覧し、特別講演のテーマともつながるインプラントの医療安全を考えさせられる充実の内容であった。
次回の第11回長野県歯科インプラントネットワークミーティングは、日本口腔インプラント学会関東・甲信越支部大会と併催にてきたる2023年の2月18日(土)、19日(日)に長野県松本市で開催される予定である。