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2022年6月8日

日歯、臨時記者会見を開催

「骨太の方針2022」で国民皆歯科健診の具体的な検討へ

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 さる6月8日(水)、歯科医師会館において、日本歯科医師会(以下、日歯、堀 憲郎会長)による臨時記者会見が開催され、多数のメディア関係者が参集した。本会見は、7日に閣議決定された「経済財政運営と改革の基本方針2022(骨太の方針2022)」をうけ、日歯としての見解を発表したもの。

 冒頭、挨拶の中で堀会長は、「骨太の方針2022」の歯科にかかわる内容について言及。資料をもとに国民皆歯科健診の具体的な検討やオーラルフレイル対策、歯科領域におけるICT活用の推進など、日歯として提言してきたほぼすべての内容が反映されたことを報告した。あわせて、国民の健康寿命の延伸や人口減少問題への貢献など、歯科界が目指す方向性を国が共有していることを高く評価するとともに、尽力した関係者らへ感謝の意を表した。

 次に、歯科にかかわる具体的な対応の概要について掘り下げ、「生涯を通じた歯科健診の充実」が過去5年間連続して骨太の方針に記載されてきたなか、今回さらに「生涯を通じた歯科健診の充実(国民皆歯科健診)の具体的な検討」と明記されたことに言及。あらためて口腔と全身の健康増進や健康寿命の延伸を目的としていることを強調するとともに、口腔と全身の健康のエビデンスを紹介し、今後より議論が深まることへ期待を寄せた。

 続けて、「オンライン資格確認の原則義務化」について言及し、対応できない医療機関に対する例外的措置や財政的支援、経過措置期間の設定など検討すべき点があることから「現時点での賛成はいたしかねる」と慎重な対応を求めた。

 その後の質疑応答では、多数のメディアから「医療費の抑制」「歯科健診の義務化」の表現が話題となっていることに対して質問が寄せられ、それぞれ「医療費の削減は結果としての可能性であり目的ではない」と強調し、「歯科健診の推進に向けた取り組みを進めていくことを趣旨としており、現段階で義務化は考えていない」と回答。また、骨太の方針にも記載されている歯科衛生士・歯科技工士の人材確保についての質問には、いずれも養成校への入学の勧誘や復職支援の充実を挙げつつ、今後の生産年齢人口の減少の加速をふまえ両職種の必要数(需要)の把握など、さらなる対策の拡充の必要性を述べた。

 国民皆歯科健診制度が実現することになれば、これまで潜在化していた歯科医療のニーズが顕在化することは明らかである。その一方で、歯科医師の地域偏在や歯科衛生士の人材確保への対応など、山積する課題の解決に向け体制整備の検討もさらに進めていく必要があるだろう。今後の動向に注目したい。