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2022年6月30日

WHITE CROSS、Webセミナーを配信

山田 翔氏によるカリオロジーの講演が注目を集める

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 さる6月30日(木)、歯科医師向け情報サイトWHITE CROSS(赤司征大代表取締役)が、山田 翔氏(愛知県開業)によるWebセミナー「エビデンスでカリオロジーをジャック!現在入手可能な最良のう蝕学」をWeb配信した(申込者は1か月間の録画視聴が可能)。

 山田氏はまず、自身がう蝕学(カリオロジー)に本格的に取り組むようになった経緯について紹介した。息子の誕生を機に、「この歯を守らないといけない」と考えるようになり、やがてスウェーデン・イエテボリ大学でカリオロジーを学んだ氏。そこで、「不要なことはしない。すべきことは徹底的に」という哲学にふれ、現在に至っていると述べた。

 次に、う蝕の病因論について、生態学的プラーク仮説やFejerskovとManjiの図などをもとにおさらいしたうえで、う蝕はさまざまな要素が複雑に絡み合って起こる多因子性疾患であるため、個々人に合わせたアプローチが必要であること、集団であれば、その集団がどういう集団なのかを把握したうえで介入することが重要であるとした。

 その後、本セミナーのメインとして、「むし歯は感染症である」「歯磨きの回数は多い方がいい」「フロスにむし歯予防効果がある」「乳臼歯にシーラントは効果的である」「赤ちゃんと食具を分けるとむし歯予防になる」「キシリトールがむし歯を減らす」といったこれまで常識と考えられてきた情報について、現在の知見をふまえてどのように解釈したらよいか1つひとつ整理した。また、う蝕予防の1つとして重要な食生活指導について、甘いものをどの程度コントロールすべきか、WHO(世界保健機関)やアメリカ歯科医師会、アメリカ小児歯科学会などが提唱している基準をふまえて具体的に提示したうえで、実際の保健指導の内容についても披露。3歳まではフッ化物応用やブラッシングだけではどうしても限界がある以上、特にシビアに行う必要があると強調した。

 その他、国民皆歯科健診など時事的なトピックスにもふれ、「カリオロジーが基本になければ、真に国民の健康に寄与することはできない」と締めくくった。

 一人の歯科医師であるとともに、現在3児の父である山田氏。エビデンスや自身の思考をふまえたうえで、一人ひとりの患者に合わせてリスクを見極め、実現可能な方法を提案するその姿勢に、多くの共感と注目が集まった。