2023年2月19日掲載

長谷川誠実氏が「エンド由来歯痛」をテーマに講演

大阪大学歯学部同窓会、第560回臨床談話会を開催

大阪大学歯学部同窓会、第560回臨床談話会を開催
 さる2月19日(日)、大阪大学歯学部同窓会(谷口 学会長)による第560回臨床談話会が、大阪大学歯学部記念会館(大阪府)およびWeb配信にて開催された。今回は講師に長谷川誠実氏(大阪府勤務)を迎え、「エンド由来歯痛を正しく理解するために ―エビデンスからナラティブへ―」をテーマに講演が行われた。

 講演の冒頭で、エンド由来歯痛は「トリガーを刺激して特定の歯が痛む」、「歯に根管治療上の問題がある」、「根管治療の診断と処置に齟齬を生じている」ことを挙げ、非歯原性歯痛とは似て非なるものという概念を提示した。痛みの原因を探るためにはとにかく問診が重要だとして、P(Provocation/Palliation)、Q(Quality)、R(Region)、S(Severity)、T(Time)という疼痛治療における絶対の基本となる診査項目を紹介。また、自身の行ってきた研究や痛みに大きく関与しているC線維についても説明した。

 慢性歯痛治療においては、器質的要因を見逃さないことが第一に要求されるが、それだけでは解決できず、治療の選択においてはナラティブベースの解析が必要であるとした。なかでも、ナラティブベースによる解析において「痛み日記」を紹介し、これによって多くのヒントが得られることもあるとして、慢性痛治療においての重要性を語った。実際に患者さんが書いた日記を例に出し、そこからわかることなどを述べた。また、痛み日記を書いてもらううえで必要な条件や、日記に書いてある要素で注意すべき点なども挙げ、その使い方も説明した。

 それまでの話をふまえたうえで、ペインクリニックから紹介を受けたエンド由来歯痛治療の臨床例について解説。治療の流れや、これまでに説明した項目を実際にどのようにして臨床に取り入れているかを詳説した。エンド由来歯痛はエンドが原因で起きたもののため、まずはエンドをする前の予防が重要になってくるが、それでも仮に生じてしまった場合は、「患者さんの日常を取り戻す」ことを目標に頑張ってほしいと述べた。

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