Quint Dental Gate 歯科のコミュニケーションサイト

文字サイズ
標準
特大

トピックス


2023年2月23日

令和4年度日本臨床歯周病学会関西支部歯科衛生士研修会が開催

会員歯科衛生士による症例報告や、大川敏生氏による教育講演に注目が集まる

ログインされますと、関連書籍が表示されます。
会員でない方はこちら
(※関連書籍がないトピックスは表示されません)

 さる2月23日(木)、SENRITOよみうりホール(大阪府)において、令和4年度日本臨床歯周病学会(JACP)関西支部歯科衛生士研修会(高井康博理事長、小林 守関西支部長)が開催され、会場は歯科衛生士70名で満席となった。

 まず、JACP関西支部に所属する歯科衛生士4名によるケースプレゼンテーションが以下の演題で行われた。いずれも規格性の高い資料とともに、歯科衛生士としてていねいに患者に向き合う姿勢が示され、大きな反響を呼んだ。

「長期インプラント症例に見るメインテナンス治療の検討」安東茉祐氏(医療法人のぶとう歯科医院)
 天然歯とインプラントの周囲組織の違いに着目したうえで、歯科衛生士としてチェックすべきポイントや、歯科医師や歯科技工士につなげるポイントについて紹介した。

「垂直性骨吸収を伴う慢性歯周炎の患者に対し歯周治療を行った1症例」元木咲久良氏(医療法人スマイルプラン スマイルプラン歯科クリニック西宮)
 歯科に対する不信感を募らせ、どちらかというと不器用でセルフケアに苦慮した患者について、口腔衛生指導(OHI)の内容や信頼関係構築に至るまでの経緯を紹介した。

「歯周基本治療によって改善が認められた広汎型侵襲性歯周炎患者の一症例」橋本桃子氏(一般財団法人サンスター財団附属千里歯科診療所)
 侵襲性歯周炎に加えて、歯列不正や右手足の先天性麻痺がみられ、開口量にも制限があるなどセルフケアが困難となる要素を複数抱えた患者におけるOHIやSRPについて紹介した。

「限局型重度慢性歯周炎に急性壊死性潰瘍性歯肉炎が併発した一症例」森野ゆかり氏(ひょうたんやまヒロ歯科)
 急性壊死性潰瘍性歯肉炎による疼痛でブラッシングが困難であった患者に対するOHIの内容を披露するとともに、診断についてガイドラインを参照した経緯も述べた。
 
 最後に、教育講演として、大川敏生氏(兵庫県開業)が「チームで取り組む天然歯保存へのチャレンジ~歯科医師と歯科衛生士の協働・連携の重要性~」と題して講演を行った。氏は、歯周治療において歯周組織再生療法が有効である理由をはじめ、歯科衛生士も知っておくべき再生療法を成功に導く条件、再生療法を行う患者に対するSRPの考え方などについて、自院で歯科衛生士とともに実践している取り組みをふまえて詳説。どちらかと言えば、歯科衛生士にとってはあまりなじみがない再生療法について非常に明快に示され、好評を博した。

 JACP関西支部では、若手歯科衛生士の発表の機会を増やす目的で今回のような研修会を今後も継続して開催する予定とのこと。次世代を担う歯科衛生士の登竜門として、今後も目が離せない。