2023年6月25日掲載

「フッ化物配合歯みがき剤のマイスターになる~フッ素濃度、使用量だけではない究極の活用法~」をテーマに

はみがき学の会総会、4年ぶりに開催

はみがき学の会総会、4年ぶりに開催
 さる6月25日(日)、日本歯科大学東京短期大学(東京都)において、スタディグループ「はみがき学の会」総会(高柳篤史代表)が、「フッ化物配合歯みがき剤のマイスターになる~フッ素濃度、使用量だけではない究極の活用法~」をテーマに開催された。

 同会は、歯磨きなどのセルフケア行動に関して科学的に検証を行い、日常臨床に活かしていくことを目的として18年前に発足。月1回の例会および外部参加者を集めての年1回の総会を基本として活動してきたが、新型コロナウイルス感染拡大にともない総会開催が見送られていたため、今回は4年ぶりの開催となった。

 講演1では、高柳氏(埼玉県開業)が「歯みがき剤をフッ素濃度だけで決めていませんか?~ブラッシングテクニックとトゥースペーストテクニック~」と題するテーマで講演。口腔の健康はセルフケアに依存していることを原則としたうえで、う蝕予防におけるフッ化物配合歯磨剤使用の重要性や効果的な使用法などについて、科学的根拠をもとに解説した。今年1月に、「4学会合同のフッ化物配合歯磨剤の推奨される利用方法」(日本口腔衛生学会、日本小児歯科学会、日本歯科保存学会、日本老年歯科医学会)が出され、注目を集めているフッ化物配合歯磨剤であるが、濃度や量だけでなく、作用させる時間、歯磨剤の粘性なども考慮して歯科保健指導をしてほしいとした。

 講演2では、山岸 敦氏(東歯大客員講師)が「歯みがき剤のレシピ(成分)から見えてくる個性と活かし方~フッ素とカルシウムの複雑な関係を解き明かす! 敵? 味方?~」と題するテーマで登壇。歯磨剤によく配合されている成分としてフッ化ナトリウム、モノフルオロリン酸ナトリウム、ラウリル硫酸ナトリウムなどを挙げ、配合の目的や相互作用について解説した。成分の中には、他の成分との相性により配合が困難なものもあれば、本来の目的のために他の成分の効果を阻害するものもあり、歯磨剤選びの際には成分も判断材料の1つとしてほしいとした。また講演後半には、歯磨剤を使ったブラッシング時の飛沫が新型コロナウイルス感染を高めるといった指摘がコロナ禍にあったことから、ブラッシングによる飛沫量や飛距離を確認する実習を行った。飛沫量や飛距離は歯磨剤の粘性や泡立ちに影響を受けること、問題視するものではないことを参加者とともに確認した。

 最後に同会の活動報告として荒木萌花氏(歯科衛生士)が、2022年日本歯科衛生学会で発表するにあたって調査した「SNSで多く発信されている口腔保健情報に関する調査」の内容を報告した。

 講演終了後の質疑応答では、「う蝕予防における砂糖摂取制限の意義」や「根面う蝕へのフッ化物バーニッシュ塗布の頻度」など、臨床的な疑問が多数あがり盛り上がりを見せた。

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