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2009年5月24日

歯とからだの患者会主催「患者主役の専門家意見交換の集い」開催

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 さる5月24日(日)、シダックスホール(東京都)において、「歯とからだの患者会」(発起人:高橋利通氏、支援者:秋元秀俊氏)による「患者主役の専門家意見交換の集い」が開催された。会場には顎関節症(TMD)で悩みを抱える患者さんのほか、その治療を行っている歯科医師、医師など69名が参加した。

 本会は、主にTMDの症状を抱える患者の会として2008年7月に発足。TMD患者のウェブサイト上での呼びかけを機に、数回の準備会を経て2009年4月、「歯とからだの患者会」ウェブサイトを開設している。

 冒頭、本会の支援者である秋元秀俊氏(編集者、ジャーナリスト)は、「TMDで悩みを抱える患者さんも多数参加しているが、この集いは症状の辛さを理解してもらうことや、特定の治療法を推奨する場ではなく、あくまでも意見交換する場である」と開催主旨を説明し、TMD治療に関する頑な主張や、特定の歯科治療の推奨および批判などに対して注意を促した。

 引き続き、木野孔司氏(日本顎関節学会理事、医歯大歯学部准教授)、筒井照子氏(福岡県開業)、細野周作氏(医師、東京都開業)、井出 徹氏(東京都開業)、村山 豊氏(群馬県開業)らによるプレゼンテーションが行われた。

 日本顎関節学会理事を務める木野氏は、咬合違和感について接触感覚の過敏化を指摘。過敏化を改善するための方法として、(1)口腔内にはいっさい手を触れない(2)行動変容法の準用や大脳への鎮静効果(3)抗うつ薬の利用、の3点を挙げた。また、日本顎関節学会として一般開業医や患者が治療を選択する際に参考となるTMDと口腔顔面痛の鑑別診断を含めたガイドラインの作成を進めていることが報告された。

 筒井氏は、長期間の体のねじれが口腔領域に障害を残す生活習慣(態癖)の症例を供覧し、生活習慣の改善で不定愁訴が軽減することを述べた。また、「TMDは未解明な部分が多くあるため、早急に統一見解が出されるべき」と訴えた。

 井出氏は長年TMD治療を行ってきたなかで、「歯科由来以外の要因もあると考えた結果、現在、整形外科医である細野氏との連携を図っている」と述べ、細野氏は整形外科医の立場から骨の位置ズレに焦点を当て、レントゲン写真をもとに解説した。村山氏は、原因不明な疾病や症状、現在医学の判断基準では解明できないオステオパシー病変について触れ、骨盤など体のズレを中心に述べた。

 その後、会場から出されたアンケートに対してパネリストと参加者との意見交換が行われた。咬み合わせの違和感や不快感にともなう頭頚部・全身の不快感を持つ参加者からは、数多くの質問があいついだ。TMD治療に関して規格化されたガイドラインが示されていないため、咬合治療に関しては議論が錯綜しているのが現状だが、もはや口腔顔面痛も含めてTMDの問題は医科と歯科共通の問題として捉えなければならないと感じた会であった。