2025年4月号掲載
日本版オリジナルページ 知っておきたい歯科矯正学の基本の「き」(第17回)
※本記事は、「JAO[Journal of Aligner Orthodontics]日本版 2024年No.4」より抜粋して掲載。
矯正歯科治療を経ても機能する顎機能を保つ必要性
顎位、すなわち下顎位の安定は、正常咬合の成立に必要な生理的要件のひとつである。これは、顎関節の正常な機能が日常の咀嚼運動や発音の基盤となるためであり、矯正歯科治療は顎関節や咀嚼筋などの痛み、関節雑音、開口障害、顎運動異常、変形性顎関節症などの顎関節症状がない、顎関節の正常な機能が確保されたうえで達成されなければならない。そのために、安定する顎位を求めたうえで検査や資料採得を行い、その顎位にて治療目標に向かうことが必要となる。
咬合時、対咬する歯の咬頭と窩を構成する斜面が最大の面積で接触するときの下顎位を「咬頭嵌合位」と呼ぶ(正常咬合であれば、下顎安静位からバランスの取れた最小限の咀嚼筋収縮により、歯列が接触するまで上下顎を閉鎖した位置のこと)。また下顎頭が顆頭安定位にある状況で、上下顎の歯列が接触するときの下顎位を「中心咬合位」と呼び、正常な咬合状態においては咬頭嵌合位と中心咬合位が一致することが望ましい1 。