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2026年2月号掲載

リレー連載 自分史上、もっとも勉強になったこの1冊+若手に受け継ぎたい1冊

リレー連載 自分史上、もっとも勉強になったこの1冊+若手に受け継ぎたい1冊

※本記事は、「QDT 2025年12月号」より抜粋して掲載。

 本書が発刊された2009年は、まさに筆者が開業した年でもあり、臨床家として忘れられない節目の1年となった。当時の筆者は、来院される患者の主訴や症状ばかりに目を向け、それを解決することが歯科医師としての仕事だと信じていた。

 そんな折、父(吉木邦男)のクリニックに立ち寄った際に偶然本書を見つけ、何気なくページを開いた瞬間に衝撃が走ったことを今でも鮮明に覚えている。

 まず圧倒されたのは、ページを彩る圧倒的に美しい症例写真の数々である。そこには、単に歯を治すという範疇を超え、「美しさ」と「機能」、そして「生物学的調和」を兼ね備えた口腔内が広がっていた。筆者はすぐに書籍を購入し、何度も熟読した。読み進めるうちに、これまで自分が行ってきた「歯の治療」と、本書の著者である山﨑長郎先生が提示する「口腔を総合的に診る治療」との間に、決定的な違いがあることに気づいた。とくに印象に残っているのは、エステティック・クラシフィケーションという診断・治療計画の体系立った考えかただ。患者の訴えに対して、単に色や形を整えるだけでなく、隣在歯・対合歯・歯列の調和、さらには口唇や顔貌との関係までを含めて検査・診断するという概念は、当時の自分にはまさに目から鱗だった。「前歯をきれいにしたい」という一見単純な要望の中にも、咬合、歯周、咀嚼機能など多くの因子が関わっていることを学び、歯科医師としての責任の 重さと奥深さを痛感した。

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