2023年5月号掲載
たゆたう姐さんDTのひとりごと(第14回)
※本記事は、「QDT 2019年」(2月号)より抜粋して掲載。
第14回:小4の壁もとい小5の壁
長女が小3の時まで、学童は小1から小3までしか入れなかった。多くの地域がそうらしい。4年生からは自立しなければならないという。ここでまた働くお母さんたちは躓く。だから世間で「小4の壁」とよばれる。個体差はあっても小4なんて本当に子供。学校の日はお留守番も夕方の2時間くらいだけど、長期休みには朝から晩までひとりで生活しなきゃならない。いやいやいや、無理でしょ!? 少なくともうちの頼りない娘は無理! そんなこともあって、長女が小3の年は、遠い会社に通えるのも今年度いっぱいかなと思っていた。ところが小4に上がる年、学童の対象学年が6年生まで広がった。しばらく安泰じゃないか! 私はすっかり安心してのんびり構えていた。長女が小4になっても学童に行けることが決まった時、次女も小学校に上がり学童に入った。登校も下校も姉妹一緒なことが何より安心だった。そんな1年が終わろうという時、市役所から手紙が。なんと、長女は来年度の学童の更新ができず待機児童になるとのこと。学童は3月いっぱいで終わりですよと。何がびっくりって、その手紙が来たのが3月23日。学童終了の1週間前。絵に描いたようなお役所仕事。会社を辞める時だって、1ヵ月前に言うのが大人のマナーってものでしょ!? よくよく考えればいずれはこうなる気はしていた。なぜなら学童対象学年を全学年に広げても定員はそのままだから。定員オーバーすれば、大きい子から足切りされる。うちはラッキーにも4年生の1年間がオマケで通えたけれど、次年度は4年生すら1人も入れなかった。対象学年の拡充をしても、結局3年生までしか入れない。「子供子育て支援制度」の一環で「とりあえず」やっただけ感。何の実もない書類上だけの拡充。言いたいことは山ほどあるけど、文句を言っていても仕方ない。とにかくあと1週間で長女は学童を出されてしまう。しかも出された初日は4月1日。春休み。1番心配で1番困る長期休暇。なんということだ。決まった時間に宿題をやらせてくれたり生活指導をしてくれた、半分保護者のようだった学童の先生はもういない。何かあった時に、いや何もなくても、すぐに駆けつけられる場所に私がいなくてはと思った。自己投資して習ったことを身につけるために遠い会社に転職した。4年間、通うだけでも修行のようだったけど、たくさんのことを教わって、いっぱい勉強させてもらった。その間、子供たちもよく頑張ってくれた。本音を言えばもう少し経験値を増やしたかったけど、こうなったからには子供たちの近くに戻ろう。私は最初の転職の時のように家の近くの会社を探した。まさかの就職活動。すでに『女性が歯科技工士を続けるために』なんて講演をしていたのに、その張本人が大ピンチという。そんな時、元同僚から来月会社を辞めるという連絡がきて、代わりの歯科技工士を探しているとのことだった。私の事情を話すとその日のうちに社長から連絡がきた。こうして私は3月いっぱいで3番目の会社を辞め、4月からは自宅から3kmの最初に就職した会社にまたお世話になることになった。かろうじて歯科技工士人生の首はつながった。新卒から14年半働いた勝手知ったる会社であるため、育児しながら働く環境に関しては不安はなかった。だけど、やりたいことがやれなくて飛び出した会社。この数年で自己投資して身につけた技術や学んだことは全部無駄になってしまうのかな。ふりだしに戻るのか。がっかり感でいっぱいだった。3番目の会社を辞めてから、働き始めるまでに1週間の休みがあった。長女の春休みとも重なり、私も意図せずして20年ぶりの春休み。学童を放り出された長女と、小5の壁に見事にぶち当たって玉砕した私。1週間のプータロー生活を満喫するために、毎日長女と近所の桜の名所に出向いた。誰もいない平日の昼間、満開の桜の下で長女と2人。この先を思ってため息をつきながら、冷めた唐揚げ弁当を食べた。