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2026年10月号掲載

地域の口腔の健康を守るために尽力する熊本県歯科医師会の「顔」

※本記事は、「新聞クイント 2026年10月号」より抜粋して掲載。

災害に強い歯科医師会を目指し、平時の連携と備えを強化したい

令和8年熊本地震では、歯科医療機関も断水などによって大きな影響を受けた。一方、10年前の熊本地震をはじめ、九州北部豪雨で培われてきた経験は、今回の支援活動に着実に生かされているようだ。本欄では、熊本県歯科医師会会長の牛島 隆氏に発災から1 か月が経過した今、支援活動での成果と見えてきた課題、そして今後の災害歯科医療についてうかがった。

牛島:今回の地震による断水は、歯科医療の現場に大きな影響を及ぼしました。約70軒の歯科診療所が一時的に診療できない状況となり、上水道が復旧した後も水圧不足によってタービンが使用できないなど、診療再開には時間を要しました。

 そこで、発災直後からメーカーやディーラーと連携し、ペットボトルに加圧弁を取り付けてユニットに接続することで、数台でも使用できるような緊急対応が行われました。今回の経験をふまえ、今後は個々の歯科診療所だけでなく口腔保健センターなど地域の拠点に給水タンクを整備することの検討と国への要望を考えています。

 地震発災3日後には先遣隊を派遣し、避難所などの状況を確認しました。その情報を熊本県庁をつうじて国に伝え、県外からの支援チームへとつなぐことができました。また10年前と比べ、行政や他県の歯科医師会、JDAT(日本災害歯科支援チーム)などとの連携は大きく進みました。さらに県の災害時医療救護計画に災害歯科コーディネーターが位置づけられたことも大きな意味をもちました。県救護本部と支援チームとの間をつなぐ役割ができたことで、医療機関の復旧状況や避難所の情報を共有し、支援活動をより円滑に進めることができました。

 災害支援を機能させるには、支援する側だけでなく、支援を受ける側の体制づくりも欠かせません。受援側があらかじめ体制を整えておくことで、支援側も現地の状況や条件に合わせて動くことができます。今回は、その重要性をあらためて実感しました。

 災害時の歯科医療には、被災者を地域の歯科医療へとつなぐ重要な役割があります。発災直後、歯科診療所の多くが診療できない状況では、歯の痛みや義歯の紛失・破損などへの応急対応が必要になります。しかし、地域の歯科医療機関が復旧した段階で、地元の歯科医師会を中心とする地域の歯科医療へつなぐ役割が重要です。また、災害時の歯科の役割は治療だけではありません。避難生活における口腔衛生管理をつうじて、誤嚥性肺炎などの二次的な健康被害を防ぐこともとても重要になります。

 一方、車中泊や軒先避難など、避難所外の被災者への支援や、巡回診療車の災害時の活用、災害救助法と保険診療の制度上の課題など、新たに見えてきた課題もあります。今回の経験や教訓を1つひとつ整理し、平時から行政や関係団体と顔の見える関係を築き、災害に備えて支援を受け入れる体制の整備が急務です。