2022年3月号掲載
第2話:STが歯科診療所で活躍できるわけ
歯科の現場で専門性を発揮!
言語聴覚士の業務と役割
ご存じのとおり、歯科の診療形態には外来と訪問診療の2つがあります。今回は、言語聴覚士の私が普段行っている業務や役割を中心にご紹介いたします。
1つめの外来では、お子さんの構音障害、口腔がんの術後フォロー、神経筋疾患の構音障害・摂食嚥下障害の評価や訓練、重症心身障害児・者や高齢者の口腔機能・摂食嚥下機能の評価や訓練を担当します(図1)。また、外来に限らず訪問診療でも、口腔機能発達不全症や口腔機能低下症の検査や指導の補助、嚥下内視鏡検査の補助を行います。
2つめの訪問診療では、主に摂食嚥下障害の方を担当します(図2)。その際、情報提供書を確認すると経管栄養をされていることも少なくありません。ケアマネジャー(介護支援専門員)から送られてきた週間スケジュールを見て、在宅医の往診、通所施設、訪問看護師、訪問リハビリテーション、訪問介護士のサービス利用状況、経管栄養などを考慮しながら訪問にうかがう時間を検討します。重度の方の場合は、特に在宅医、ケアマネジャー、訪問看護師らとの連携が重要となります。病院勤務を経て歯科診療所で働いている言語聴覚士にとって、多職種連携や医療用語の理解は比較的得意分野といえるので、訪問の調整業務を担うこともあります。

図1 筆者が外来で使用している訓練用具。

図2 訪問診療時の様子。
病院勤務経験が現場で生きる!
医療・介護・福祉との連携
歯科の関連職種では、一般的に大学や専門学校を卒業し、基礎資格の取得後に診療所で働く方が多いと思います。一方で、言語聴覚士の場合は資格取得後に病院勤務を経験することが多いです。また、回復期リハビリテーションでは、自宅退院後などの生活場面を意識しながらリハビリテーションを行うため、医療のみでなく介護や福祉に関する知識も少なからず有しています。したがって、医療福祉関連職との共通言語が理解しやすいといえるかもしれません。
私の場合は、病院勤務時代にレスパイト入院の方を担当したことをきっかけに在宅医療に興味をもちました。そこから在宅医療への興味・関心が高まり、受験要件である勤務経験5年を経て介護支援専門員(ケアマネジャー)の資格を取得しました。在宅医療・介護に関する知識は、訪問歯科を行ううえで非常に役立っています。訪問診療を行っている歯科診療所にケアマネジャーの知識を有する方がいることはとても重宝されると思います。
歯科診療所勤務のSTの現状
活躍の場を広げるための課題
このように、歯科の中でさまざまな役割を担うことができそうな言語聴覚士ではありますが、今のところ大学病院や歯学部などを除き、歯科診療所で働く言語聴覚士は全国で30名ほどだと思われます。私の調査では、歯科診療所で言語聴覚士を雇用している人数は、1~2名が多かったです。しかし、中には4名の言語聴覚士を雇用している歯科診療所もありました。この4名の言語聴覚士を雇用するためには、リハビリテーションに関する診療報酬などの理解や評価が大切になります。私は歯科診療所を経営する歯科医師をはじめとする方々にこれらの認識が広まり、歯科診療所で活躍する言語聴覚士が増えていくことを期待しています。
また、歯科で言語聴覚士が診る対象は小児から高齢者まで幅広いため、病院勤務を経験し、一人職場でも自分で考えて行動できる力が必要となります。
今後、言語聴覚士自身も私たちにできることをみずから発信していくことで、歯科での活躍の場を広げられればと願っています。
ご存じのとおり、歯科の診療形態には外来と訪問診療の2つがあります。今回は、言語聴覚士の私が普段行っている業務や役割を中心にご紹介いたします。
1つめの外来では、お子さんの構音障害、口腔がんの術後フォロー、神経筋疾患の構音障害・摂食嚥下障害の評価や訓練、重症心身障害児・者や高齢者の口腔機能・摂食嚥下機能の評価や訓練を担当します(図1)。また、外来に限らず訪問診療でも、口腔機能発達不全症や口腔機能低下症の検査や指導の補助、嚥下内視鏡検査の補助を行います。
2つめの訪問診療では、主に摂食嚥下障害の方を担当します(図2)。その際、情報提供書を確認すると経管栄養をされていることも少なくありません。ケアマネジャー(介護支援専門員)から送られてきた週間スケジュールを見て、在宅医の往診、通所施設、訪問看護師、訪問リハビリテーション、訪問介護士のサービス利用状況、経管栄養などを考慮しながら訪問にうかがう時間を検討します。重度の方の場合は、特に在宅医、ケアマネジャー、訪問看護師らとの連携が重要となります。病院勤務を経て歯科診療所で働いている言語聴覚士にとって、多職種連携や医療用語の理解は比較的得意分野といえるので、訪問の調整業務を担うこともあります。


病院勤務経験が現場で生きる!
医療・介護・福祉との連携
歯科の関連職種では、一般的に大学や専門学校を卒業し、基礎資格の取得後に診療所で働く方が多いと思います。一方で、言語聴覚士の場合は資格取得後に病院勤務を経験することが多いです。また、回復期リハビリテーションでは、自宅退院後などの生活場面を意識しながらリハビリテーションを行うため、医療のみでなく介護や福祉に関する知識も少なからず有しています。したがって、医療福祉関連職との共通言語が理解しやすいといえるかもしれません。
私の場合は、病院勤務時代にレスパイト入院の方を担当したことをきっかけに在宅医療に興味をもちました。そこから在宅医療への興味・関心が高まり、受験要件である勤務経験5年を経て介護支援専門員(ケアマネジャー)の資格を取得しました。在宅医療・介護に関する知識は、訪問歯科を行ううえで非常に役立っています。訪問診療を行っている歯科診療所にケアマネジャーの知識を有する方がいることはとても重宝されると思います。
歯科診療所勤務のSTの現状
活躍の場を広げるための課題
このように、歯科の中でさまざまな役割を担うことができそうな言語聴覚士ではありますが、今のところ大学病院や歯学部などを除き、歯科診療所で働く言語聴覚士は全国で30名ほどだと思われます。私の調査では、歯科診療所で言語聴覚士を雇用している人数は、1~2名が多かったです。しかし、中には4名の言語聴覚士を雇用している歯科診療所もありました。この4名の言語聴覚士を雇用するためには、リハビリテーションに関する診療報酬などの理解や評価が大切になります。私は歯科診療所を経営する歯科医師をはじめとする方々にこれらの認識が広まり、歯科診療所で活躍する言語聴覚士が増えていくことを期待しています。
また、歯科で言語聴覚士が診る対象は小児から高齢者まで幅広いため、病院勤務を経験し、一人職場でも自分で考えて行動できる力が必要となります。
今後、言語聴覚士自身も私たちにできることをみずから発信していくことで、歯科での活躍の場を広げられればと願っています。