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2026年2月号掲載

人生100年時代に求められる歯科の役割

※本記事は、「新聞クイント 2026年2月号」より抜粋して掲載。

 1989年に厚生労働省(当時・厚生省)と日本歯科医師会で始まった8020運動は、現在では6割以上が達成しています。その一方で、高齢者の約2割がオーラルフレイルに該当しています。高齢化がますます進む現在、単に歯を残すだけでなくいかに口を機能させるか、口腔機能の維持が新たな課題となっています。

 人生100年時代を迎え、歯科医療の役割も大きく変化しています。う蝕や歯周病の治療・予防にとどまらず口腔機能全体を管理し、多角的な視点から支援することが求められるようになりました。国民における口腔機能の低下は、医療・介護を含めた多職種の課題として取り上げるべき部分です。

 たとえば、認知症患者の歯科治療のみならず食支援も含め、診療室の枠を越えて介護施設や自宅に訪問し、患者さんや家族の生活環境に寄り添いながらケアを行う機会も増えています。医学的知識だけではなく、その方々の人生観や価値観を尊重しながら向き合う想像力も不可欠です。

 このように、歯科医療従事者における高齢者に対する歯科医療の基礎知識は、だれもが必要とされているといっても過言ではありません。そして、口腔機能低下症・口腔機能発達不全症が保険収載されたことも相まって、口腔機能管理は歯科の新たな役割に対するメッセージとしても捉えることができます。

 歯科医師の責務は、患者さんの歯科疾患の治療に加えて歯や口の機能が生涯にわたって維持できるように、継続的に支援することではないでしょうか。