2025年11月号掲載
生涯現役の歯科医師を目指して
※本記事は、「新聞クイント 2025年11月号」より抜粋して掲載。
2022年末の統計調査によると、歯科医師の総数は調査開始以来、初めて2,000人以上が減少した。62歳となった私の周りでも多くの歯科医師が引退について考える話が耳に入ってくる。
私は、生涯現役でありたいと心から思えることを幸せに感じている。歯科医師は生涯研修が求められるため年齢を重ねても引退を考える必要はなく、若い頃に学びを積み重ねることで年をとっても働き続けられるからだ。 若い歯科医師は、好奇
心や情熱があるうちに目標をもって徹底的に学んでほしい。学び方は本やセミナー、直接学ぶという3 つ。注意すべき点は情報過多時代だからこそつねに疑問をもち、情報の質を見極めることだ。
また学びは、技術やトレーニングの量だけでなく検証と改善を繰り返すことが大切である。単なる経験の積み重ねでは力にならず、「経験を科学する」ことが求められる。
さらに、一流を目指すならば学びや努力そのものを楽しみ、世界水準の知識や技術にふれるなど、狭い視野でなく広い視点や姿勢をもってほしい。
そして、知識や技術の専門性に加え、気づかい・伝える力・コミュニケーション力などの人間力が、患者さんやスタッフとの信頼関係を築く鍵となる。いまやどこでも世界トップレベルの医療を提供できるため、場所は関係ない。大切なのは「どこで働くか」よりも「どう学び、どう成長するか」である。
私は若いうちの徹底的な学びが生涯を豊かにし、知識・技術、そして人間力を高めてこそ価値ある歯科医師になれると思っている。