2021年10月号掲載
60の臨床例を提示し、あらゆる矯正歯科治療パターンを網羅!
【PR】包括的歯科治療時の矯正歯科治療に取り組んでみたいすべての歯科医師へ
※本記事は、「新聞クイント 2021年10月号」より抜粋して掲載。
小社9月の新刊として『矯正歯科治療の基本と類似症例が必ず見つかる!ラーニングステージ別臨床例60』が刊行されました。本欄では、その執筆者である石井彰夫氏(岡山県開業)に本書の出版の意図や、出版に対するこだわり、思いを語っていただきました。(編集部)

「ザ・クインテッセンス」誌への論文投稿から積み重ねてきた書籍への道
――まず、本書執筆のきっかけを教えてください。
石井 今から13年前、月刊誌「ザ・クインテッセンス」内の査読付き論文投稿欄である“the debut”に、私の論文「非外科、非抜歯で対応した骨格性Ⅲ級についての考察」がアクセプトされました。そして、その論文を当時の編集長にも認めていただけたようで、その後同誌からの新たな執筆依頼を幾度も頂戴することとなりました。
私の歯科医師としてのテーマは、包括的歯科治療に付随する矯正歯科治療(以下、矯正治療)の追求です。そのテーマに基づいて、これまで一貫して「ザ・クインテッセンス」誌に論文発表してきて、これらがある程度たまってきたところで今回の書籍執筆の依頼がありました。
読者対象は、包括的歯科治療に取り組んでみたいすべての歯科医師
――次に本書の概要と読者対象について教えてください。
石井 本書は、プロローグの章を除けば、チャプター1~4の4章構成です。このうち、チャプター1はGPが包括的歯科治療の一環として矯正治療を行うことの意義について、チャプター2と3は検査、診断、治療計画、使用材料など、矯正治療の基本事項を説いたものです。包括的歯科治療に取り組んでみたい、そしてその矯正治療を自分で取り組んでみたいと考えるGPが対象とする読者といえるでしょう。
ただ、矯正治療を矯正医などに任せているGPの方にも、ぜひ読んでいただきたいと思います。なぜなら、矯正治療を包括的歯科治療の一環として行う限り、 GPにも矯正治療の知識は必須になるからです。
目の前の患者さんの口腔内の状態に近い症例が見つかる!
――チャプター4の60症例にのぼる症例解説の質量に圧倒されました。
石井 チャプター4では、前述のチャプター1~3をふまえて、実際にどのように矯正治療に取り組んでいけばいいのかを、“ステージ”と称して10段階の難易度別にし、症例提示しています。そうして読者それぞれのその時の臨床技術の習熟度に合わせて、どこからでも読んでもらえる構成を目指しました。これが本章の大きな特長の1つです。
また、矯正治療のさまざまなバラエティを60症例で解説したことで、読者の方には今、矯正治療を望まれている目の前の患者さんの口腔内の状態に近い症例、すなわち類似症例をかなりの確率で見つけていただけると思います。これについては、読者が探している症例をすばやく検索できるように、30の項目でその症例の概要がわかる“症例早見表”を活用していただきたいと思います。
包括的歯科臨床における患者と歯科医師の“落としどころ”を学ぶ
――“患者本位、患者利益、患者満足”などといった言葉が、本書の中に何度も出てきたことが印象的でした。
石井 これは矯正治療に限ったことではありませんが、かかりつけ歯科医師である私としては、可能な限り患者さんの要望を優先した治療計画を立てたいと考えています。そうではなく、患者さんの要望をふまえずに歯科医師が理想と考える治療計画を押し通すことは、ほとんどの場合、結果的に患者さんに苦痛や無理を強いるものになり、患者満足度は上がりませんから当然です。
ただ、誤解しないでいただきたいのは、これは治療の質を大幅に落として患者さんの望む治療計画を立てるということではなく、あくまで歯科医師として譲れない一線を引いたなかで、患者さんの希望にギリギリまで寄り添った結果の治療計画を提示するということです。
ですから、チャプター4で提示した60症例には、いわゆる“チャンピオンケース”的な症例は見当たらないと思います。むしろ患者さんと私との良い意味での“落としどころ”が治療計画、治療結果として示されており、これらの内容が読者諸氏に共感されるもの、あるいは臨床の参考になるものであれば、望外の喜びです。
――ありがとうございました。
