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2026年6月号掲載

これからは院長業だけをやっても生き残れない!

【PR】 「世のため、人のための経営」という考え方で、歯科医療の当たり前を変えていきたい

※本記事は、「新聞クイント 2026年6月号」より抜粋して掲載。

 小社2026年4月の新刊として、多保 学氏による著書『脱・院長の教科書』が刊行されました。本欄では、多保氏に本書の特徴や読みどころ、活用法などについて語っていただきました。(編集部)

本書を執筆した経緯

 本書を執筆したのは、純粋に「歯科業界を良くしたい」という想いからです。私の周りには成功して輝いている先生が多くいますが、歯科医師全体から見ると実際はひと握りで、ほとんどの歯科医師は疲弊しています。ほとんどの場合目の前のことに追われて、休みもないのが現実です。これでは歯科業界が良くなるわけがありません。

 私の医療法人にはミッションがあります。それは、「医療を通じて生活の質を向上させる存在となる」、「関わるすべての人たちを笑顔にする」、そして「歯科医療の当たり前を変えていく」ことです。私は、歯科界において「世のため、人のための経営」という考え方を当たり前のものとし、この業界を変えたいと考え、本書を執筆しました。

経営を学ぶようになったきっかけ

 私は約10年前に開業したのですが、開業後2年くらいはほぼすべての業務を1人で行う日々が続きました。専門であるペリオ・インプラント治療も多数行っていましたが、日常診療のあまりの忙しさに「この状態が続いたら、大好きな歯科治療が嫌いになってしまう……」と危機感を覚えたのが経営を勉強したきっかけです。院長1人で診療するような労働集約型の医療では、もし自分に何かがあったら医院が回らなくなり、患者さんにもスタッフにも迷惑をかけることになります。

 そこで、経営の本質を学んで、1人ではなく組織として医療に携われるようにしたのです。後輩たちを育てることで、院長がいなくても歯科医院が回る環境をつくりました。院長が歯科医院の経営者としての考え方をしっかりもつことで、院長業の忙しさから脱却しようというのが本書の狙いです。歯科界にマインドチェンジしてもらうことが大事だと思っています。

なぜ、「経営者脳」が必要なのか

 私たち歯科医師は大学時代、職人としての技術しか学んでいませんから、「職人脳」になっています。歯科医師の99%は職人脳で、「経営者脳」をもつ先生は1%だと思います。

 歯科医院は零細・中小企業である以上、院長は社長なのです。そのとき、経営の意味がわからないのにどうやって医院(企業)の方向性を決めていくのでしょうか。どうやって人を動かせるのでしょうか。医院としての理念やビジョンがなければ、スタッフは動きません。理念やビジョンがあれば、スタッフにも徐々に浸透し、動いてくれるようになります。「経営者脳」をもつ大切さはここにあります。

 歯科業界では、経営に関する多くのセミナーが存在します。そこで多いのが、「どうしたら初診患者が増えるか」「どうしたら自費率を上げることができるか」といったハウツーです。ですが、それは医院経営の本質ではありません。大切なのは、「あなたの歯科医院ではどういった患者さんに来てほしいのか?」、「あなたの顧客はだれなのか?」という視点です。

 目の前の患者さんを診るだけでは、隣の歯科医院と同じになってしまいます。しかし、今後の歯科医院経営はそんなに甘くありません。自院の強みや弱みをもっと分析したうえで、どういう歯科医院にしていくかといった経営者脳が問われてきます。

「脱・院長」とは?

 「脱・院長」とは「院長をやめなさい」ということではありません。院長業に追われ、目の前の患者さんだけを診るのはやめましょう、経営者、そして社長としての視座を高めていきましょうという意味です。

 人生には成功するために必要な3つの資本があります。「人的資本」「社会資本」「金融資本」です。そして、この3つは、この順番で身についていくものですが、最近の若い先生方の多くはこのような順番があることに気づかず、高収入の新卒募集に飛びついてしまいます。お金は結果的についてくるものであり、目先の利益にとらわれると本質を失ってしまいます。

 これからの歯科医師はもっと経営の勉強していかなければなりません。本書では、経営者としての在り方の本質について解説していますので、ぜひ参考にしていただきたいです。

本書が目指したポイント

 本書のなかで私は、歯科医師人生を四季にたとえて解説しています。10代、20代は春で、さまざまなことをインプットし人的資本を磨く大切な時期です。30代、40代は夏でもっとも脂が乗った時期であり、春の時期に努力した結果として人的資本が手に入り、夏になって初めて社会資本や金融資本がついてきます。

 50代、60代は秋、70代、80代以降は冬で、体力も落ち、パフォーマンスも低下していきます。しかし、学んできた知識や経験をもとに物事を理解し、判断する能力である「結晶性知能」は年齢とともに蓄積されます。年齢が上がるほど結晶性知能は蓄積され経営力も上がっていくので、体力が衰えても経営者として十分活躍できるのです。

 歯科医師に定年はありませんから、すべては自分次第です。ケンタッキーフライドチキンで有名なカーネル・サンダースは60代で起業しました。「やれることはなんでもやれ」という信念のもとに動いたそうです。「新患が増えない」「売上が増えない」と言っている多くの院長は、経営について考えることを放棄していて、それこそが問題だと思います。

 経営者に年齢は関係ありません。いま60代の先生でも、これまでの知識や経験を生かすことで、これから経営を学んで医院を伸ばす先生もいると思います。ぜひ本書をお読みいただき、経営の本質を学んでいただければと思います。

読者へのメッセージ

 冒頭でも述べましたが、これからますます激動の時代を迎える歯科界においては、「世のため、人のため」という地域貢献の視点が歯科医院経営には不可欠だと思います。そのためには、組織が重要です。本書では、「どうしたら組織が動くのか?」という経営者としての視座を高めるための哲学を紹介しています。

 「どうやったら自由診療が増えるのか?」といった目先のことでなく、「何のために歯科医院をやっているのか?」を考えるきっかけになる本です。そういった意味で歯科界に一石を投じていると思っています。

 世の中に、良い歯科医院や悪い歯科医院はなく、あるのは良い院長か悪い院長かだけです。世の中を良くしようという院長は患者さんからもスタッフからも支持されます。トップが変わらないと何も変わりません。本書をお読みいただき、ぜひともに歯科医療の当たり前を変えていきましょう。

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