<font color='green'><b>American Academy of Periodontology 99th Annual Meeting</b></font>
後で読む
さる9月28日(土)から10月1日(火)の4日間、Pennsylvania Convention Center(米国)にて、American Academy of Periodontology 99th Annual Meeting(Dr.Nancy L. Newhouse会長、以下AAP)が開催され、総勢4,500名が参加、うち日本からも73名の参加があり盛会となった。
今回の大会で感じられたのは、米国の歯周病専門医が大きな転換期を迎えているということであろう。長引く経済不況の下、一般開業医からの照会が減り、歯周病専門医は、新しいビジネスモデルを追求すべき段階に入ったことを自覚しているようである。かつ、上記と並行して特徴的なのは、「Personalized Medicine」という新しいコンセプトの登場である。すなわち、サイエンスの発展により歯周病の解明が進むにつれ、歯周病の初期から中等度まではSRPでコントロールできること、残りの重度歯周病患者は遺伝子検査等を用いることで個々のリスクファクターに応じて対応可能となりつつあり、歯周病専門医としての立ち位置が大きくシフトしてきている。つまり、サイエンスが進歩するほど自身の仕事を自己否定せざるを得ない状況となり、歯周病専門医のアイデンティティが模索される時代に突入したといえる。
会場では数多くの講演が行われ、結合組織移植術や再生療法、インプラント治療の話題もあったが、なかでも今大会で象徴的だったセッションが、Dr.Kenneth S. Kornman(米国開業)とDr.William V. Giannobile(米国ミシガン大教授)によるゼネラルセッションであった。前述の「Personalized Medicine」を行うための診療システムについて、また歯周病のリスクファクターのなかでもとくに喫煙、Interleukin-1(IL-1)、糖尿病の3つが非常に大きなキーワードであり、それらを考慮したPersonalized Medicineが重要であることが解説された。
いずれにせよ、米国の歯周病専門医がアイデンティティを模索し、新たなビジネスモデルを追求すべき時期に突入した雰囲気が醸し出されていた大会であった。次回のAAP 100th Annual Meetingは2014年9月19日(金)から22日(月)の4日間、カリフォルニア州サンフランシスコにて開催予定であるが、AAPが過去100年の学びを糧に、つぎの100年に向けてどのようなビジョンを打ち出すのか注目したい。