2015年7月16日掲載
第74回東京矯正歯科学会学術大会開催

清水典佳学会長(日大歯学部教授)の辞により開始された本大会では、各大学や医院から15題の一般口演と26例の症例報告が行われた。
特別講演では、内山健志氏(東歯大名誉教授)が「今まで行って来た口唇裂・口蓋裂の治療」と題して講演を行った。Part1では口唇裂・口蓋裂の定義や発生原因・発生頻度などの総論と治療体制(小児科、口腔外科、矯正歯科、看護師、言語聴覚士、助産師などとのチーム医療)や治療方法についての説明がされた。Part2では内山氏がNPO法人「東京発アジアの子どもたちに微笑みの輪を広げる無償医療ネットワーク」を設立し、ベトナムなどのアジア途上国において口唇裂・口蓋裂の外科手術など医療援助に携わるようになった経緯とその実際について報告された。Part3ではFrom birth to maturityの一例として、唇顎口蓋裂児として生まれた患者を乳児から成人に至るまでチーム医療を行ったケースが報告された。
時々ユーモアを織り交ぜながら進められた講演だったが、Part1では日本における母親の心理的なケアまで考えたチーム医療、Part2ではベトナムでの継続的・人道的な医療援助と現地の人々とのかかわり、Part3では内山氏が治療した口蓋裂の患者が長じて雑誌のモデルになるまでの経緯が語られ、聴衆に感動を呼び起こしていた。