2015年12月6日掲載
各地の関係スタディグループが初めて一堂に会した場で充実の講演が展開
Breakthrough総会開催
当日は、鈴川会長の挨拶に続き、安部達也氏(福岡県勤務・RDPI)が歯周病学の生物統計学とのテーマで、各種学術論文とそのエビデンスレベルについて基礎から解説する基調講演を展開。その後は、各グループの主宰が自身らの活動を説明したのち、代表する演者による講演が行われた。
ブレイクスルー広島(主宰:藪 健一郎氏)からは吉岡俊彦氏(広島県開業)が登壇。歯内療法専門医の立場から難治性根尖性歯周炎をテーマに、正しい治療をするための要点を解説した。また、安易な根管治療がトラブルをまねいている現状に警鐘を鳴らした。
ブレイクスルー岡山(主宰:大江丙午氏)からは瀧 潤一郎氏(岡山県勤務)が登壇。歯周病罹患症例にインプラント治療を行った症例を供覧しながら、そうした患者さんにおいて正しく咬合再構成を行うポイントについて解説した。
Good Samaritans(主宰:熊谷靖司氏)からは、鶴巻聖子氏(歯科衛生士・熊谷歯科医院)が登壇。歯科衛生ケアプロセスをテーマに、歯周基本治療において歯科衛生士がどのように患者さんの情報を集め、治療計画に反映させていくかについて言及した。
ブレイクスルー大阪(主宰:鈴木秀典氏)からは、舩戸麻里子氏(サンスター株式会社)が登壇。インプラント周囲炎予防歯肉縁下において、プロフェッショナルケアにおいてデンタルフロスを始め各口腔清掃器具の効果を精緻に比較・検証したデータを紹介した。
RDPI(主宰:西原廸彦氏)からは、山下大輔氏(鹿児島県勤務)が登壇。慢性歯周炎患者の骨内欠損に対して骨移植を行ったのち、口腔内環境を良好に維持できるよう長期にわたって管理を続けている症例を紹介した。
最後は、栗原英見氏(広大大学院教授)が「歯周治療の位置づけの変化と新しい指標」と題した特別講演を行った。栗原氏は、歯周病と各種全身疾患の関係性について言及するとともに、今後、有効な医科歯科連携を行っていくためには、歯周疾患、歯周病の重症度に関して、医科関係者でも理解できる新しい指標を確立することが重要であると述べた。また、質疑応答時には、講演に先立ち座長として登壇した大月基弘氏(大阪府開業)の問題提起「ぺリオ‐インプラント領域における検査法の現状と問題点」を受けて自身の見解を語ったほか、歯科衛生士の今後の役割について大きな期待と展望を述べた。
今後の歯科医療において重要とされる多くのテーマが特に歯周病学を中心に語られ、本スタディグループがこれまで積み上げてきた成果が感じ取れる1日となった。