2016年9月11日掲載
多くの日本人演者が登壇し、好評を博す
American Academy of Periodontology 102nd Annual Meeting in San Diego開催
オープニング前日の10日には5th Pan Pacific Sessionが行われ、梅村 匠氏(東京都開業)、岩田光弘氏(岡山県開業)、青木 章氏(医歯大)が共演。インプラント治療の生物学的合併症について語り、立ち見がでるほどの盛況となった。
大会初日となる11日には、メインホールにて臓器移植の研究者・Anthony Atala氏(ウェイクフォレスト大)によるOpening General Session Technology and Innovation: Regenerative Medicine and 3D Printingが行われた。細胞培養の基礎研究や臓器移植を受けた患者の治療経過と動画などを披露し、3,000名収容のホールをほぼ満席にした。本ミーティングを通して、もっとも人が集まったのがこのセッションであった。
続く各プログラムでは、築山鉄平氏(福岡県開業)がルートサブマージェンステクニックの迷信と真実について、二階堂雅彦氏(東京都開業)がティッシュエンジニアリングについて、藤田 剛氏(広大)が歯周病の予防について、村上伸也氏(阪大)が歯周組織再生の可能性について、瀧野裕行氏(京都府開業)が前歯部の欠損状況に応じたインプラント修復治療について講演した。特に瀧野氏のユーモアあふれる講演は会場を何度も笑いの渦に包んだ。
この日の夜には"Perio Samurai Night"(日本歯周病学会、日本臨床歯周病学会、株式会社モリタ共催)というディナーパーティーが開催された。演者を含めたほとんどの日本人に加え海外演者も参加してお互いに交流を深め、良好な気候で知られる西海岸サンディエゴの夜を楽しんだ。
大会2日目の12日には、メインホールにてOded Bahat氏(米国開業)、Burton Langer氏(米国開業)、Myron Nevins氏(ハーバード大)ら大家とも呼ばれる3名の演者が登壇。インプラント治療における臨床上の疑問やプロトコールなど、どちらかといえば保守的な内容であったが、逆にそれら当然の抑えるべきポイントを著名な演者陣が語ることによって説得力が増していた。
別のプログラムでは船越栄次氏(福岡県開業)と石川知弘氏(静岡県開業)が同セッションで骨造成に関する講演を行ったほか、清水宏康氏(東京都開業)が審美症例に対するアプローチについて語り、耳目を集めた。
午後のメインホールでは最新のティッシュエンジニアリングに特化した今後の歯周治療とインプラント治療を語るプログラムが展開され、日本からは吉江弘正氏(新潟大大学院)が登壇した。講演終了後も聴講者からの途切れない質問に30分ほど時間をかけて対応する氏の姿が、本セッションの反響の大きさを物語っていた。
大会最終日の13日には、渡邊 久氏(医歯大)が歯周病に対するレーザー治療の知見と症例を供覧する講演を行った。また、会期中常設されていたポスターセッションでは90名を超す日本人のポスターが掲示され、会場の一角を占めるほど賑わいを見せた。
歯周治療だけでなく、それに大きく関与するインプラント治療も本会のテーマの1つで、両者の関係を学ぶにはまさにうってつけの学会であるといえる。
次回のAAP年次ミーティングは、きたる2017年9月に米国マサチューセッツ州ボストンにて開催される予定である。