2019年7月14日掲載
67題のポスター発表と92名の症例発表講演が行われる
(一社)日本インプラント臨床研究会、創立45周年記念大会を開催

本年度の会員による症例発表は、骨造成、即時荷重・即時埋入、デジタル歯科など16のテーマに分かれ、重鎮とよばれる演者から新進気鋭の若手までが熱のこもった講演を行った。発表には評価者により点数がつけられ、順位が発表された。以下にその結果を示す。
1位:「既存骨0mmのクレスタルアプローチについて」(水口稔之氏、東京都開業)
2位:「矯正的挺出後における歯周組織再生療法と同時のリッジプリザベーション」(岩野義弘氏、東京都開業)
3位:「口腔内スキャナーによる義歯製作およびコピーデンチャーへの応用」(田中譲治氏、千葉県開業)
また、ポスター発表は骨造成、補綴・咬合など5つのテーマに分けて行われ、各テーマにおいて最優秀賞・優秀賞が決定された。各テーマとその最優秀賞受賞者は下記の通り。
骨造成最優秀賞:「ブロックグラフトその後の安定性について」(森岡千尋氏、滋賀県開業)
補綴・咬合最優秀賞:「上顎無歯顎患者へのインプラント補綴物の選択基準を再考察する」(池田岳史氏、長野県開業)
診査・診断最優秀賞:「アライナーを使用した矯正治療の可能性」(甘利佳之氏、東京都開業)
周囲組織マネージメント最優秀賞:「PETにより対応した審美的ハイリスク患者におけるPES/WES評価の短期的報告」(熱田 亙氏、東京都開業)
デジタルソリューション最優秀賞:「口腔内スキャナーを用いた上顎臼歯部欠損に対するインプラント補綴への臨床応用」(山田陽子氏、東京都開業)
14日には全員発表のほか、飯島勝矢氏(東大高齢社会総合研究機構教授)による特別講演、「健康長寿のためのオーラルフレイル予防~インプラント治療との関わり~」が行われた。老年医学・老年学を専門とする飯島氏は、食の安定性および口腔機能の重要性を述べた。まず健常な状態と要介護状態の中間であるフレイルについて述べ、口腔機能の軽微な低下等を意味するオーラルフレイルについて説明した。多職種連携は前提としたうえで、医科・歯科の垣根を超えて、医科関係者がオーラルフレイルについて知ること、そして歯科関係者がフレイルについて知ることの重要であるとした。さらに社会性の虚弱を意味するソーシャルフレイルなどへの対策も含めた、多面的なフレイルへの予防アプローチを職能ごとにどう認識していくかの重要性についても述べ、医科・歯科関係者だけでなく、一般にフレイル・オーラルフレイルが広く認知されるための活動を行っていくとまとめた。
15日にはシンポジウム「全員参加型ディスカッション」が行われた。マイクロ機器やCTなどの設備について、インプラント周囲炎について、歯科経営についてなどのテーマに関する質問に対し、参加者全員が配布されたクリッカーによる回答を行い、その結果を即時に確認し、ディスカッションしていくというものである。自分以外の歯科医師がどのような選択をしているのか、またどのような意図でその選択を行っているのかを知ることができる貴重な機会であった。
両日とも活発な質問が行われ、またときには経験豊富なベテランから若手へのアドバイスがなされ、会場には終始熱気が満ちていた。
本大会は創立45周年記念大会であり、2020年には歯科医学会最大派閥の日本口腔インプラント学会が創立50周年となる。ともに活動を行い、日本口腔インプラント学会の活動を支え続けてきた当会は、この全員発表研修会を行っていくなかで会員の技術の底上げを図り、次の50周年という節目に向けて活動を続けていくとした。