2021年4月8日掲載

「歯科における心身医療と心身医学のこれからを考える」をテーマに

神奈川歯科大学・包括的口腔機能回復外来、第1回PSEセミナーを開催

神奈川歯科大学・包括的口腔機能回復外来、第1回PSEセミナーを開催
 さる4月8日(木)、オンラインミーティングプログラムのZoomで、神奈川歯科大学・包括的口腔機能回復外来による第1回PSE(Postgraduate Student Education)セミナー「歯科における心身医療と心身医学のこれからを考える」をテーマに開催された。

 まず、和気裕之氏(神奈川県開業)が「歯科心身症を再考する」と題して講演。歯科における心身医療として「歯科心身症」「口腔心身症」などの用語が使用されているものの、それぞれ統一された概念や定義がなく、学生教育や歯科医療の現場で混乱が生じていることを受け、明確な定義づけを目的として「歯科心身症」の概念試案を提示した。

 つづいて、宮岡 等氏(北里大名誉教授、精神科医)が「歯科臨床において心身症というとらえ方は必要か」と題して講演。氏の歯科口腔外科におけるリエゾン診療の経験と、精神科医の立場から感じる歯科医療の特殊性について言及。インフォームドコンセントの重要性を述べるとともに、歯科医師による安易な治療介入に対して警鐘を鳴らした。

 つぎに、玉置勝司氏(神歯大教授)が「咬合違和感患者を口腔心身症と捉えた時の論点」と題して講演。「咬合違和感」やそれに類似する症状に関する論文の変遷などを紹介するとともに、咬合違和感症候群の一部を歯科が担当する「口腔心身症」の概念図を紹介した。

 最後に、参加者を交えたディスカッションが行われ、用語の定義という根本的な問題提起から、医原性によるものを心身症とよぶべきではないといった意見など、白熱した議論が展開された。

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