2022年4月16日掲載
昨年に引き続きWeb配信にて開催され、総勢34名の講師を招聘
第38回公衆歯科衛生研究会(ネコの会)開催

グループAは歯学・地域医療学・こども発達学に関する演題で構成された。なかでも、徳永順一郎氏(兵庫県勤務)は、自身の53年間に及ぶ小児歯科臨床について回顧するとともに、近年の小児の口腔内における気になる傾向について持論を展開した。また、特別講演として、メディアでもおなじみの原坂一郎氏(怪獣ミュージアム館長・こどもコンサルタント)が招聘され、怪獣たちの歯にまつわるエピソードや子どもたちとのかかわり方などについて多数紹介された。
グループBは食育・教育学・災害対応学・口腔機能学に関する演題で構成された。なかでも、今井一彰氏(医師、みらいクリニック院長)は口呼吸に関する最新のトピックスを披露し、中島潤子氏(長野県開業)は鼻呼吸を促す「マウステーピング」の効果について症例とともに示した。また、特別講演として、堀田 修氏(医師、日本病巣疾患研究会理事長)が招聘され、新型コロナウイルス感染拡大とともに注目を集める上咽頭炎をテーマに、発症に至るまでのメカニズムや疫学、全身への影響、治療法であるEAT(上咽頭擦過療法)や鼻うがいの効果などについて、文献や症例をふまえて詳説された。
グループCは人類学・動物学・コミュニケーション情報学・心理学に関する演題で構成された。なかでも、アドラー心理学の第一人者である岩井俊憲氏(ヒューマンギルド代表)は医療現場における勇気づけの意義や秘訣について解説した。
最後に、サプライズゲストとして、西田 亙氏(医師、にしだわたる糖尿病内科院長)が登場した。まず、日本国内で人工透析治療費を凌駕するほど高額の介護保険料がかかっていることや、要介護状態になる最大の一因として認知症が挙げられることについて問題提起。そのうえで、10歯未満では要介護状態になるリスクが15倍に上がるというデータや、歯数割引特則が盛り込まれた認知症保険が昨年11月に登場したことなど、歯科医療関係者として必見の情報が多数共有された。
なお、次回は2023年4月2日(日)に、以前と同様の会場である兵庫県中央労働センター(兵庫県)において現地開催の予定。