社会|2025年8月5日掲載
イタリアのDaniele Cardaropoli氏らが2日間にわたり講演
JIADS、Periodontal Plastic Surgery & Perio-Ortho Synergiesを開催
さる8月2日(土)、3日(日)の両日、KABUTO ONE HALL(東京都)において、Periodontal Plastic Surgery & Perio-Ortho Synergies(JIADS主催、佐々木 猛理事長)が開催され、イタリアより招聘したDaniele Cardaropoli氏、日本人演者による講演およびディスカッションが行われ盛会となった。
初日は、まず佐々木氏(大阪府開業)による開会挨拶後、松井徳雄氏(東京都開業)の座長のもと、「Session 1: Root Coverage」が行われた。筒井純也氏(大阪府開業)は「Why Complicate It? VISTA as a Universal Approach in Soft Tissue Management」と題し、1,000症例を行ったというVISTAテクニックの有用性についてケースとともに解説。尾野 誠氏(京都府勤務)は「Exploring the Potential of the Tunnel Technique」と題し、トンネルテクニックを成功に導くためのポイントを写真とイラストとともにわかりやすく解説。また、氏が考案した新手法についても紹介した。
Cardaropoli氏は「Successful treatment of single or multiple gingival recessions: the contemporary approach to periodontal plastic surgery」と題して登壇。多くの症例を供覧しながら、患者個々における歯肉のフェノタイプやバイオロジーをきちんと見ることの重要性を説いた。
つづいて、工藤 求氏(東京都開業)の座長のもと、「Session 2: Synergies between Orthodontics and Periodontology」が行われた。山口文誉氏(神奈川県開業)は「Orthodontic Treatment after Periodontal Tissue Regeneration Therapy: Effects, Timing, and Selection of Regenerative Materials」と題し、「再生療法後にどれくらいの期間を待って矯正歯科治療を開始すべきか?」という命題について文献を紐解きながら解説。土岡弘明氏(千葉県開業)は「Perio-Ortho Synergy: Periodontal-orthodontic treatment in severe periodontitis」と題し、病的な歯の移動(PTM)を呈した患者に対する包括的歯周治療の実際について長期症例を交えて解説した。
Cardaropoli氏は「Benefits of orthodontic movement for the management of Stage IV periodontal patients」と題して登壇。再生療法後の矯正歯科治療開始のタイミングに関して、再生療法後1か月で開始する根拠とそのメリットについて、氏も携わった研究を紹介しながら解説した。
2日目は、瀧野裕行氏(京都府開業)の座長のもと、「Session 3: Increase in the Volume of Peri-implant Soft Tissues」が行われた。岩野義弘氏(東京都開業)は「Peri-implant Soft Tissue Augmentation: A Strategic Approach Based on Objectives and Conditions」と題し、多数の写真と動画とともにインプラント周囲の軟組織増大のテクニックについて解説。奈良嘉峰氏(神奈川県開業)は「審美的再建のための軟組織マネジメント」と題し、隣接面軟組織増大のタイミングと合併症のリスクについて解説した。
Cardaropoli氏は「Soft-tissue management around dental implants: the role of the soft tissue barrier for aesthetic and long-term stability」と題して登壇。インプラント治療の長期安定のためには、インプラント周囲軟組織の幅と厚みが重要としたうえで、多くの症例とともに治療の実際を解説した。
最後に、小野晴彦氏(大分県開業)の座長のもと、「Session4: The Orthodontic Movement for the Development of the Implant Site」が行われた。吉野宏幸氏(埼玉県開業)は「The Orthodontic Movement for the Development of the Implant Site」と題し、セファロ分析に基づいた診断の重要性と、矯正歯科治療を併用した咬合再構成の実際について解説。丹野 努氏(栃木県開業)は「Orthodontic Implant Site Development」と題し、矯正的組織造成法とインプラント治療を併用して審美的改善を獲得した症例を多数供覧した。
Cardaropoli氏は、先天性欠如症例において矯正歯科治療でスペースを確保し、接着ブリッジにて対応したケースなどを供覧した。
両日とも、各セッションの最後にはCardaropoli氏と登壇演者によるディスカッションが行われた。スクリーンに映し出された参考症例に対し「自分ならどのような治療オプションを選択するか?」を投票する会場参加型の形式で行われ、盛り上がりを見せた。
最後に、佐々木氏が閉会の挨拶に立ち、今回の講演会が有意義なものになったこと、また、Cardaropoli氏の講演の通訳を務めた梅津清隆氏(東京都開業)に謝辞を述べ、本講演会は熱気に包まれたまま終了した。なお、JIADSはきたる12月6日(土)、7日(日)の両日、大阪にて第32回総会・学術大会が開催予定となっている。