学会|2024年5月27日掲載

「歯周病の精密および個別化医療」をテーマに

第67回春季日本歯周病学会学術大会が開催

第67回春季日本歯周病学会学術大会が開催

 さる5月24日(金)、25日(土)の両日、ビッグパレットふくしま(福島県)において、第67回春季日本歯周病学会学術大会(高橋慶壮大会長、沼部幸博理事長)が「歯周病の精密および個別化医療」をテーマに掲げ開催された。その他、本大会では2日間にわたり、特別講演、シンポジウム、教育講演、医療安全委員会企画講演、学会学術賞受賞記念講演、市民公開講座、口演発表、ポスター発表、ランチョンセミナーなど、充実したプログラムが組まれた。

 特別講演Ⅳでは、岩田光弘氏(岡山県開業)が「歯周炎StageⅣ患者に対する包括的歯科治療について」と題して講演を行った。まず、2022年に欧州歯周病連盟から発表された歯周炎StageⅣに対する診療ガイドラインにおいて、StageⅣ症例を4つの類型に分類した「Case type 1~4」が示されたこと、およびその詳細を語った。それぞれのCase typeに対してどのような治療を行うべきかについて、自身の症例を示しながら解説。その他にも、StageⅣ患者に矯正歯科治療を行う場合、歯周組織再生療法後にどの程度の期間を置いてから行うべきかや、インプラント治療、補綴治療も含めた包括的歯科治療についても述べられ、個別化医療を行うにあたって、治療の選択肢をもち合わせることの重要性が示唆された講演となっていた。

 シンポジウムⅡ「歯周病の精密医療」では、三橋 純氏(東京都開業)、大森一弘氏(岡山大)、長尾大輔氏(茨城県開業)、岩田隆紀氏(医歯大)が登壇した。なかでも、三橋氏は「手術用顕微鏡で観察したセメント質剥離の実態」と題して、いまだあいまいなことが多く、臨床で遭遇した場合にその対応に窮するセメント質剥離の症例を供覧した。根尖でセメント質剥離が生じた症例では、どこから感染が生じたのかなど、自身の考察を交えて解説した。聴講者にとって、エビデンスがまだ少ないセメント質剥離症例を、マイクロスコープを用いた鮮明な動画で確認できる貴重な機会になったのではないだろうか。

 なお、第67回秋季日本歯周病学会学術大会は、きたる2024年10月4日(金)、5日(土)の両日、札幌コンベンションセンター(北海道)において、菅谷 勉大会長(北大)のもと開催予定。

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