学会|2025年7月29日掲載

「ペリオサミット2025in広島〜重度歯周炎StageⅣへの挑戦〜」をメインテーマに

日本臨床歯周病学会、第43回年次大会を開催

日本臨床歯周病学会、第43回年次大会を開催

 さる7月26日(土)、27日(日)の両日、広島国際会議場(広島県)において、日本臨床歯周病学会第43回年次大会(大江丙午大会長、石谷昇司理事長)が、「ペリオサミット2025in広島~重度歯周炎StageⅣへの挑戦~」をテーマに開催された。2日間にわたり、歯科医師・歯科衛生士シンポジウム、特別講演、歯科医師および歯科衛生士ケースプレゼンテーション、インターナショナルセッション、AAP会長臨床講演、ペリオサミット、ポスター発表、教育講演、ランチョンセミナーなど、多数のプログラムが行われた。

 1日目の歯科医師・歯科衛生士シンポジウム1では、歯周外科治療 (STEP3) の検証および StageIV 症例への対応について、中山洋平氏(日本大学松戸)、山口文誉氏(神奈川県開業)、渥美克幸氏(埼玉県開業)、林 美穂氏(福岡県開業)、吉野宏幸氏(埼玉県開業)、内田剛也氏(神奈川県開業)、斎田寛之氏(埼玉県開業)、溝上宗久氏(福岡県開業)らが講演を行った。なかでも斎田氏は、「可撤性補綴装置によるStageⅣ歯周炎Type3、4症例の包括的対応」と題して、重度の歯周炎(StageⅣ)にて生じた動揺歯に可撤性補綴装置を用いた“二次固定”に焦点を当てた講演を行った。斎田氏は、「固定性補綴装置(一次固定)が予後不安歯を抜歯して口腔機能の長期安定を目指すのに対し、可撤性補綴装置(二次固定)は取り外しが可能であるため、将来的に問題が発生した際にも修理や調整で対応しやすく、予後不安歯を保存する選択肢を広げることができる」と解説したうえで、症例を複数提示した。

 2日目の歯科医師・歯科衛生士シンポジウム2では、StageⅣ患者への個別化対応の重要性について、神山剛史氏(埼玉県開業)、山崎英彦氏、菅原哲夫氏(ともに北海道開業)、鈴木道治氏(宮城県開業)、千葉英史氏(千葉県開業)らが講演を行った。まずは、神山氏が本シンポジウムの概要を述べたうえで、山崎氏は歯周基本治療の具体的な実践とその重要性、菅原氏は咬合力のコントロール、鈴木氏は治療後のメインテナンス、千葉氏は歯周治療後の欠損補綴について解説した。重度歯周炎だからこそ、患者の生活環境、経済的状況、性格など、患者ごとで個別化対応していくことの重要性を感じることのできるシンポジウムとなった。

 そのほか、ペリオサミット企画 「参加型『症例検討会』あなたならどうする?」が行われた。検討する症例は2つ提示された。なかでも検討症例1では、座長である水上哲也氏(福岡県開業)が、非審美領域である下顎の複数歯の骨欠損症例の初診時の口腔内写真、デンタルX線写真、CBCT像を示し、「歯周組織再生療法を行う際に、どのようなフラップデザインを選択するか」という質問を会場に投げかけ、参加者は二次元コードをスキャンして、選択肢のいずれかを選び、その場で結果が示された。その後、演者である安藤壮吾氏(愛知県開業)、樋口琢善氏(福岡県開業)、大川敏生氏(兵庫県開業)らが、それぞれ「Extended flap」「Single flap approach」「EPPT」の立場で症例を提示し、最後にあらためて参加者にアンケートがとられた。セッション開始時に質問を投げかけることで、通常よりも没入感の得られるセッションとなっていた。

 次回の第44回年次大会は、きたる2026年6月20日(土)、21日(日)の2日間にわたり、札幌コンベンションセンター(北海道)で開催予定である。

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