社会|2025年8月1日掲載
船登彰芳氏、北島 一氏、石川知弘氏が「歯の保存にこだわる歯内療法・歯周治療~5-Dコンセンサス~」をテーマにWeb講演
クインテッセンス出版株式会社、第74回WEBINAR(後編)を開催

さる7月30日(水)、船登彰芳氏(石川県開業)、北島 一氏、石川知弘氏(ともに静岡県開業)によるWEBINAR #74「歯の保存にこだわる歯内療法・歯周治療~5-Dコンセンサス~」(クインテッセンス出版主催、北峯康充代表取締役社長)が開催された。
本セミナーは、『5-Dコンセンサス 歯の保存にこだわる~これまでの軌跡と次世代へのメッセージ~』の内容をベースに行われた。さる7月9日(水)に開催された石川 亮氏(兵庫県開業)、南 昌宏氏、福西一浩氏(ともに大阪府開業)によるセミナーの後編にあたる。
まず、船登氏が「Current periodontal treatment-Present,Past and the Future」と題して講演。「歯周治療でもっとも大切なのは歯周外科治療ではなく、初期治療とメインテナンス、そして患者によるセルフケアの確立である」と述べたうえで、歯周病の多くの特徴を挙げながら、歯科医師と歯科衛生士、そして患者がどのように歯周治療にかかわっていくべきかを解説。その後、書籍で自身が担当したCHAPTERである「切除療法」を中心に、30年経過の長期症例をはじめ多くの症例を供覧。さらに、生理的な骨形態を獲得するためのBalanced Osseo-Gingival Relationship & Occlusal Stabilityのコンセプトの重要性や、根分岐部病変への対応法などを述べ、長期に安定した治療結果を導くためにはサポーティブペリオドンタルセラピーで一生涯患者と向き合うことが大切とした。
続いて、北島氏が「歯周形成外科~根面被覆~」と題して講演。天然歯周囲の歯肉歯槽粘膜の状態および形態異常にはさまざまなものがあるとしたうえで、歯肉退縮に焦点を当てて解説。歯肉退縮が生じる病因として、1)物理的要因、2)解剖学的要因、3)生理学的要因――の3つを挙げ、さらに歯肉退縮の分類としてよく用いられるMillerの分類およびCairoの分類の各特徴を述べた。そして、根面被覆の術式として、ペディクルソフトティッシュグラフト法、遊離歯肉移植術、バイラミナー法、さらにTunnel TechniqueとCoronally Advanced Flapについて紹介し、根面被覆を成功に導くための診断と治療のプロセスを多数の症例とともに詳細に解説。自身の症例以外に、5-D Japanの他のメンバーの症例も多く紹介した。
最後に、石川氏が「歯周組織再生療法」と題して講演。再生療法の目的は、付着の獲得と支持骨の増大、ポケットの減少、歯肉退縮をゼロまたは最小限度に留めることであると述べ、再生療法の発展とともに「現在では、X線写真の骨縁下欠損の深さだけでは抜歯の理由にならなくなった」と言及。また、再生療法を成功に導くための3つの主要原則とされるblood clot stability(血餅の安定)、space provision(スペースの確保)、site protection(感染の予防)の重要性を述べたうえで、増殖因子や骨移植材、メンブレンを用いて良好な結果を得た多数の症例を供覧。さらには、歯周形成外科と再生療法の併用により骨再生と歯間乳頭再建を獲得した症例なども提示した。
なお、本Webセミナーは10月30日(木)まで振り返り視聴可能となっている。次回のWEBINAR #77は、きたる8月7日(木)、大河雅之氏(東京都開業)を招聘し、「イノベーション・オブ・ラミネートベニア 20年の臨床と研究が示す価値 ラミネートベニアデジタル化の動き パナビアV5発売10周年記念 特別オンラインセミナー」の講演タイトルで開催予定(視聴無料)。今回の振り返り配信、次回WEBINARのお申し込みはいずれもこちらから。