企業|2025年9月5日掲載
子供たちの笑顔のために歯科医師が集う会
インビザライン・ジャパン、小児矯正歯科フォーラムを開催
さる8月31日(日)、東京ミッドタウンホール(東京都)において、インビザライン・ジャパン 小児矯正歯科フォーラム(インビザライン・ジャパン合同会社主催、土橋慎也社長)が開催され、オンライン参加を含め700名が参集した。本会は同社小児向けアライナー型矯正装置(インビザライン・ファースト™)および成長期患者のアライナー矯正治療にトピックを絞った初のイベントとなる。
土橋氏の挨拶のあと、基調講演「革新と普遍:デジタル時代に問われる小児矯正歯科の原則原理」が齊藤正人氏(北海道医療大学)をモデレーターとして行われ、スピーカーとして齊藤一誠氏(朝日大学)、根岸慎一氏(日本大学松戸歯学部)が登壇した。齊藤氏は「成長を理解すれば装置はもっと活きる」と題し、顔面頭蓋と口腔機能の成長発達、および口腔機能と形態の関係を、根岸氏は「本邦における小児矯正歯科治療の標準的アプローチ」と題し、小児矯正治療の目的、下顎骨の前方成長誘導、上顎側方拡大について現時点の標準治療を、いずれも学術的立場から国内外のエビデンスを示しつつ解説した。
続いてシンポジウム1「成長のダイナミズムを利用した一期治療の未来」が賀久浩生氏(東京都開業)をモデレーターとして行われ、岡野修一郎氏(歯科医師、Aligner Studio)、有田光太郎氏(長崎県開業)、賀久氏がスピーカーとして登壇した。岡野氏は成人矯正治療を主に行っている立場から小児用アライナー型矯正装置の可能性について、有田氏は小児の成長の可能性を前提とした上顎の前方拡大について、賀久氏はsagittal(矢状方向)な問題とtransverse(横方向)な問題に分類し、各アプローチについて文献を示しながら解説した。患者それぞれの成長という予測できない要素に対する各者のアプローチが論じられ、さまざまな議論と不確定要素の多い成長期および領域に対する治療の難しさと慎重を要する点が共有された。
さらにシンポジウム2「各専門分野の視点からみたアプローチと治療戦略」が竹内敬輔氏(愛知県開業)をモデレーターとして行われ、長尾龍典氏(京都府開業)、石谷徳人氏(鹿児島県開業)、有本志織氏(和歌山県開業)がスピーカーとして登壇した。長尾氏はかかりつけ歯科医としての立場から、石谷氏は小児歯科・矯正歯科医の立場から、有本氏は矯正歯科医の立場からそれぞれ小児患者の口腔機能および歯列形態の管理について、自身の臨床のコアとなる部分を織り交ぜながら解説した。長尾氏は家族で通院してくれる患者の歯列を診ていくなかで、混合歯列期の患者において改善すべき歯列不正とインビザライン®口蓋拡大システム(IPE)使用時の注意点、矯正専門医や耳鼻咽喉科などの専門医との連携について述べた。また石谷氏はⅠ期・Ⅱ期治療開始のために診るべきリスク、治療中・治療終了後に行うべき全身および口腔のモニタリングと実際の動的治療について述べた。さらに有本氏は初診時が治療開始時となることの多い矯正専門医独特の治療プロセスについて、そして一般歯科では管理の難しい萌出障害や埋伏歯の萌出コントロールについて解説した。
参加者にとっては、各者さまざまな視点から患者の成長を生かしたOrthopedic (骨格誘導的)とOrthodontic(歯列矯正的)なアプローチを知り、議論できた1日となった。