社会|2025年9月5日掲載

主要アライナーの比較および各種不正咬合別のアプローチを学ぶ

アライナー研鑽塾、アライナー矯正の流儀 2025を開催

アライナー研鑽塾、アライナー矯正の流儀 2025を開催

 さる9月3日(水)、4日(木)の両日、JPタワー ホール&カンファレンス(東京都)において、アライナー研鑽塾(藤山光治主宰)による「アライナー矯正の流儀 2025」が開催され、約100名が参集した。

 1日めのテーマは「主要アライナー各社の比較」で、常盤 肇氏(東京都開業)による「クリアコレクトについて」、綿引淳一氏(東京都開業)による「シュアスマイルについて」、岡野修一郎氏(Aligner Studio、歯科医師)による「インビザラインについて」、Vicki Law氏(Angelalign Technology社、歯科医師)による「エンジェルアライナーについて」と、各社のデリバリー型アライナーについて臨床サポートや教育講演を行う歯科医師らが登壇した。

 各講演者には、アライナー研鑽塾主宰の藤山氏(京都府開業)から同一の要解説項目が提示されたとのことで、参加者が各種アライナーを比較検討しやすい講演となった。また最後に友成 博氏(鶴見大学)が「アライナー矯正のエビデンス」と題して登壇し、10年前に比べてその数が膨大に増えたアライナー矯正治療関連の発表論文から、かつてとは異なりつつあるアライナー矯正治療の効果、アライナー型矯正装置と固定式装置の比較、アタッチメントやトリムラインの別による歯の移動実績、アライナーを用いた抜歯治療における隣在歯の傾斜傾向などについての最新エビデンスを供覧した。

 2日めはテーマを「症例別アプローチと最新技術の活用法」とし、本会主催セミナーでおなじみの演者らが登壇した。まず、演者らの使用システムに基づき講演された福田哲也氏(石川県開業)による「Open Bite症例のクリンチェックのポイント」、窪田正宏氏(石川県開業)による「Deep Bite症例のクリンチェックのポイント」、増岡尚哉氏(東京都開業)による「Cross Bite・Scissors Bite症例のクリンチェックのポイント」では、アライナーの得意/不得意な治療の解説、アライナーの特性をふまえた各種不正咬合や抜歯治療/非抜歯治療における予測実現性および採るべき治療方針、そしてソフトウェアを用いた治療計画立案で術者が確認・修正すべき歯の移動計画などの話題が共有された。

 また、最新技術の活用法として、藤山氏による「CBCTを利用した治療計画のステージングと最終目標」、上里 聡氏(香川県開業)による「インハウスアライナーの利欠点と手を出すべきではない症例」が講演された。前者では矯正歯科治療においては上顎洞が歯根の移動を妨げることもあり、アライナー矯正治療における歯根を含めた歯の移動計画の重要性が語られ、それを可能にするCBCT連動型ソフトウェアで行うべき歯の移動指示や調整について具体的に解説された。後者ではアライナー矯正治療全般にいえる「治療を始める前に身に着けておくべき技術や理解しておくべき知識」、およびインハウスアライナーにおける現時点で入手可能な材料やプリンタ、製造方法などが供覧された。

 最後に今後のアライナー矯正治療の展望が共有され、アライナー矯正治療をすでに始めている歯科医師、またこれから始めようとしている歯科医師のいずれにとっても学びの多い会となった。

関連する特集