社会|2025年9月22日掲載

香川県から歯周病学について発信する場が発足

Period Lav開催

Period Lav開催

 さる9月21日(日)、サンポート高松(香川県)において、Period Lav(阿部健一郎氏主宰)が開催され、歯科医師・歯科衛生士約100名が参集した。本会は「Periodontal(歯周病学)」「Laboratory(研究)」の略で、阿部氏(香川県勤務)が歯周病学について専門性を持ちながら気軽に学べる場を地元で作りたいとの思いから発足。記念すべき初回となる今回は「歯周治療のチカラ―広がる学びとつながる未来―」をテーマに、3名の歯科衛生士が登壇した。

 まず、黒川 綾氏(株式会社プラスアルファ代表取締役)が「長期管理におけるポイント 歯科医師と歯科衛生士のチカラの見せ所」と題して講演を行った。氏は歯科衛生士のミッションを「口腔状態の維持安定をサポートし全身状態の健康を守ること」と示したうえで、専門家としてブラッシング指導を行うだけではなく、患者に正しい知識を提供する義務があると強調した。また、定期的に通院してもらうように患者の意識改革を行うために、病態変化を把握しゴールを共有することが必要であるとし、そのキーワードとして「付着の回復」を挙げた。

 次に、山﨑瑞穂氏(株式会社DH Pro.School代表)が「この症例って非外科? 外科? SRPだけで頑張りすぎる前に見極めよう 病態を読み解くことの重要性」と題して講演。氏は非外科治療と外科治療のそれぞれのメリット・デメリット・適応症や患者の希望などをふまえて歯科医師とともに総合的に判断し、適切な治療法を選択する必要があると強調。その判断材料の1つとして、歯周治療の難易度評価表を紹介し、実際の評価について症例を交えて詳細に示した。さらに、口腔衛生指導(OHI)の重要性についてもあらためて言及したうえで、自身が苦慮した2症例も供覧した。

 続いて、小野綾菜氏(阿部歯科医院)が「プロフェッショナルハイジニストへの道 歯科衛生士の未来は無限大!」と題して、歯科衛生士としての自身のこれまでの歩みについて共有。恩師である長谷ますみ氏(歯科衛生士、NDL株式会社代表)との出会いから、歯周基本治療の効果と限界を知ってもがき続けた若手時代、NDL mint-seminarでの講師活動などについて振り返った。そして、紆余曲折の末、阿部氏との出会いを機に阿部歯科医院に転職し、チームで歯周治療に取り組んでいる現在について語り、「今後は説得力のある長期症例をもつことを目標に、香川から発信していきたい」と力強い言葉で締めくくった。

 最後に、阿部氏が本会の総まとめとして「知っているようで知らないイマどきペリオ」と題して講演を行った。氏は冒頭で「エビデンスだけで歯周病は治らない。大事なのは知識と技術を臨床に落とし込むことであり、本当の答えは診療室にある」と提示。そのうえで、今回は検査・診断の重要性や、歯周治療におけるゴール設定のあり方について解説した。ともすると難解になりがちな内容であるが、氏は文献や症例を交えながら歯科衛生士にもわかりやすいように噛み砕いて説明し、好評を博した。

 発表後に、演者全員によるディスカッションも行われるなど、成功裏に終わった本会。上々のスタートダッシュを切ったということで、今後の活動からも目が離せない。

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