社会|2025年9月29日掲載
「インプラント治療による顎の保全と再建を求めて」をテーマに各種講演が行われ盛況となる
東京形成歯科研究会、設立45周年記念学術講演会を開催
さる9月28日(日)、赤坂インターシティコンファレンス(東京都)において、東京形成歯科研究会 設立45周年記念学術講演会(月岡庸之大会長)が「インプラント治療による顎の保全と再建を求めて」をテーマに開催され、約200名が参集した。
2つの会場でそれぞれの講演が行われたが、第1会場の「Session 1:研究セッション」では、渡辺康典氏(新潟県開業)を座長として、金田 隆氏(日本大学)が「インプラント治療による顎の保全と再建への最新CT、MRI臨床応用」、川瀬知之氏(新潟大学)が「PRP研究:もはや『Myth or Reality?』の時代ではない」、黒嶋伸一郎氏(北海道大学)が「骨質を基盤としたデンタルインプラント開発研究」の演題でそれぞれ登壇し、欧米の歯科医療の状況や、骨質と骨密度に関する動物実験の詳細などが語られた。
その後の「Session 2:ペリオ」では、山口貞博氏(群馬県開業)を座長に迎え、岩野義弘氏(東京都開業)が「インプラント周囲炎の予防と治療の現在地」の演題で、インプラント周囲炎の治療の進め方を解説し、外科治療においては骨欠損の条件に従って行うが、なによりもインプラント体表面の除染が重要であるとした。ランチョンセミナーでは、下尾嘉昭氏(東京都開業)がX-GuideおよびN1 Systemの臨床応用について説いた。
午後に行われた第2会場での「Session C:再生1」では、相澤八大氏(山梨県開業)を座長として、渡辺康典氏が「再生医療の日本歯科界における現状」、川端秀男氏(東京都開業)が「多血小板血漿療法の基礎と臨床について」、増木英郎氏(北海道開業)が「成長因子を豊富に含む血漿(PRGF)の特性を活かしたインプラント臨床」、奥寺俊允氏(東京都開業)が「PRPから派生したPRF/CGFへの変遷と現在の臨床応用」の演題でそれぞれ登壇し、PRGF(多増殖因子血漿)の生成方法や各血小板濃縮材料の特徴を紹介した。
そして「Session D:インプラント審美治療デジタルデンティストリー、DX」では、大久保将哉氏(東京都開業)を座長として、林 丈裕氏(東京都開業)が「低侵襲かつ高精度を目指すインプラント治療の実践―デジタルワークフローの可能性―」、丸尾勝一郎氏(東京都開業)が「デジタルを活用した審美インプラント治療」、樋口大輔氏(松本歯科大学)が「埋入シミュレーションから動的および静的ナビゲーション―臨床的留意点―」を演題として登壇。なかでも林氏は、デジタル技術を応用した審美領域の低侵襲治療に焦点を当て、アバットメントの着脱回数を最小限に抑えられるEncodeエマージェンスインプラントシステムを用いた症例などを供覧した。
そのほか、APAID(Asia Pacific Academy of Implant Dentistry)代表であるSebastian Tseng氏や、王 上銘氏、沈 育群氏(すべて台湾)を招聘した海外講演や、企業展示などもあり、創立45周年という記念すべき節目の会として盛会裏に幕を閉じた。