企業|2026年5月25日掲載
松浦信幸氏が、「歯科治療時の全身偶発症・緊急時の対応」をテーマに講演
第755回東京松風歯科クラブ月例会が開催
さる5月20日(水)、株式会社松風東京支社(東京都)において、第755回東京松風歯科クラブ月例会が開催された。講師に松浦信幸氏(東京歯科大学歯科麻酔学講座主任教授)を招聘し、「歯科治療時の全身偶発症・緊急時の対応」をテーマに講演が行われた。
講演ではまず、歯科治療は患者にとって「未知で恐怖をともなうもの」であり、不安や痛み、局所麻酔など、歯科治療中のストレスが要因となり、全身偶発症を引き起こす可能性があると説明された。特に高齢者や基礎疾患をもつ患者、小児では生体の予備力が低く全身偶発症の発生リスクが上昇することが述べられ、高齢化が進行する我が国においては、今後さらに患者のリスク評価とそれを踏まえた対応が重要になるとされた。
日本歯科麻酔学会の調査によると、歯科治療中の全身偶発症としてもっとも多いのは血管迷走神経反射で、次いで異常血圧上昇、過換気発作であり、発症時期としては局所麻酔時が半数以上を占め、次いで多いのは治療中となっている。また数は多くなくとも、脳卒中や局所麻酔薬アレルギー、虚血性心疾患の増悪といった生命予後かかわるものの発生も報告されている。
講演では、これら歯科治療中に起こりうる全身偶発症の病態とその初期対応、安全管理について具体的に解説された。また、歯科医院で常備すべき救急薬や器機についても、日本歯科麻酔学会の「歯科医院で必要となる救急薬品使用に関するステートメント」を挙げつつ、その使い方や管理上の留意点について詳しく解説された。リスクの高い患者に対して安全に歯科治療を行うには、患者評価に加えて、呼吸、脈拍、血圧などのバイタルサインの確認が必要であり、不安がある場合は積極的な生体モニタの活用が推奨された。
講演の最後には、「緊急時対応は歯科医師だけでは限界がある」とし、スタッフ全員が対応できる医院の体制づくりの必要性が示された。
講演終了後の質疑応答では、多数の質問が寄せられ、参加者の関心の高さがうかがわれた。