社会|2026年6月1日掲載
今井一彰氏、柿崎陽介氏が「歯科医院で取り組む『姿勢と呼吸』へのアプローチ」をテーマにWeb講演
クインテッセンス出版株式会社、第87回WEBINARを開催
さる5月28日(木)、今井一彰氏(医師、みらいクリニック)、柿崎陽介氏(宮崎県開業)によるWEBINAR #87「歯科医院で取り組む『姿勢と呼吸』へのアプローチ」が開催された。本セミナーは、今年2月に両者が共著で出版した書籍『姿勢と呼吸 歯医者さんの知りたいところがまるわかり』(小社刊)の内容をベースに行われた。
最初に今井氏が講演。氏は、口呼吸が姿勢不良につながることから、口腔内環境の改善や口呼吸是正は非常に重要であるが、その一方で、姿勢には足指変形も関係している場合があると指摘。そこで足元からのアプローチ、すなわち上行性の変化(下から上へ向かうアプローチ)について解説した。
足指変形には浮指や外反母趾などがあるが、これらによって足のアーチが崩れたり、O脚や骨盤のゆがみ、前方頭位といった変化が生じることがある。講演では、こうした姿勢不良に対し、土台である足元にアプローチすることで姿勢や歩行に改善がみられた症例を紹介した。そのうえで、「歯科では姿勢に対し、まず口呼吸など口腔の問題を疑うことが多い。すなわち下行性の医療(上から下へ向かうアプローチ)である。しかし、足元から姿勢が崩れているケースがあることも知ってほしい」と述べ、足元にも目を向ける必要性を強調した。
続く柿崎氏による講演では、冒頭、モンゴルと日本の4歳児の口腔内写真を比較し、日本の小児では「噛み合わせが深い」「空隙がない」「下顎が小さい」といった特徴がみられることを解説。その背景には、食べ物や食べ方、生活習慣・生活環境の違いがあることを、モンゴル人の生活を紹介しながら解説した。実際、昨今の日本の小児では、テレビを見ながらの食事やうつぶせ寝、頬杖といった習慣が口腔内に悪影響を及ぼしていると説明。特にスマホの影響は大きく、いわゆるスマホ首や前方頭位を生じ、上顎前突などの不正咬合につながるケースもある。こうした症例では、口唇閉鎖不全や口呼吸、歯肉炎などをともなうことも多く、ブラッシング指導だけでは改善が難しいとして、姿勢にも目を向けた対応の必要性を説いた。さらに子どものスマホ利用については、姿勢不良だけでなく、脳や眼への悪影響のほか、体を動かす時間を奪うことで成長・発達を阻害する可能性もあると指摘した。
最後に、姿勢や食べ方、口の正しい使い方・動かし方については、歯科が積極的にかかわるべき分野だと説明。今年の診療報酬改定の流れからも、国が歯科に期待している役割の1つではないかと述べた。
講演終了後の質疑応答では、多数の質問が寄せられ、姿勢に対する関心の高さがうかがえた。本講演の振り返り配信は、2026年8月29日(土)まで新規購入が可能である。
なお、次回のWEBINAR #88は、きたる6月4日(木)、谷口裕重氏(朝日大学)と、多田 瑛氏(朝日大学)を招聘し、「診療室でできる摂食嚥下リハの全貌! ~知らないと損する“実践のコツ”~」と題し開催予定。今回の振り返り配信、次回WEBINARのお申し込みはいずれもこちらから。