学会|2026年9月8日掲載

「デジタル矯正の深化 〜AIが臨床を支え、臨床がAIを導く その共進化が矯正の未来を創る〜」をテーマに

第5回日本デジタル矯正歯科学会学術大会開催

第5回日本デジタル矯正歯科学会学術大会開催

 さる9月6日(日)、第5回日本デジタル矯正歯科学会学術大会(三林栄吾理事長・大会長)が、JPタワー名古屋 ホール&カンファレンス(愛知県)とWEB配信のハイブリッドにおいて開催され、現地参加およびWEB参加あわせて384名が参集した。大会テーマを「デジタル矯正の深化~AIが臨床を支え,臨床がAIを導く その共進化が矯正の未来を創る~」とした本会では、AIや3Dプリンティングをはじめとするデジタル技術が急速に進展するなか、単なる診療工程のデジタル化にとどまらず、各種データを統合して診断・治療計画や臨床意思決定に活用する次世代の矯正歯科医療について、多角的な議論が展開された。

 基調講演・大会長講演では三林氏(愛知県開業)が、「デジタル矯正の深化 AI時代の臨床イノベーション」と題して登壇し、現在の矯正歯科を取り巻く口腔内スキャナー、CBCT、フェイススキャナー、顎運動計測、AIなどの最新技術について概説した。また、デジタル矯正治療を含むインターディシプリナリー治療や、他科と連携したデジタル歯科治療における知見共有の重要性について述べた。

 メイン会場では、まず安藤壮吾氏(愛知県開業)が「補綴臨床におけるデジタルワークフローの可能性に挑む」と題し、みずからの歯科治療が「噛めて、飲み込めて、眠れているか」を検証すべきとし、治療によってつくられる口腔内容積と機能の関係を考慮した補綴治療について解説した。また富田大介氏(東京都開業)は「顎変形症治療の未来を拓くデジタルデータ統合―XR・3Dクローンフェイスモデル・AIへの展開―」と題し、自社で実施している「失敗できる患者プロジェクト」を紹介した。そこではAIアバターを用いた治療計画立案・シミュレーションや、VRによる遠隔コミュニケーション、切開時の出血まで再現した手術トレーニングモデルなどを紹介した。

 続く韓国デジタル矯正歯科学会との共催セッションでは、イ・ギョンミン氏(韓国・全南大学校)が「Beyond Automation: AI-Driven Decision-Making in Orthodontics」と題して、現在の大学教育および臨床におけるAIの活用、また今後を見据えた抜歯・非抜歯、外科・非外科治療の選択を含む意思決定支援を行うAI関連研究について解説した。また金澤 学氏(東京科学大学)は「有床義歯補綴のデジタル化」と題し、口腔内スキャン、CAD/CAM、3Dプリンティングを活用したデジタルデンチャーのワークフローやAI応用の可能性について論じた。

 午後の講演では、間所 睦氏(東京都開業)が「デジタル技術は矯正歯科をどこへ導くのか AI・3Dプリンティング・データサイエンスがもたらす新たな可能性と課題」と題し、AIやダイレクトプリントアライナーの長所と落とし穴について取り上げ、デジタル技術を臨床に活かすには解剖学や生体力学に基づく矯正診断の理解が不可欠であることを解説した。また吉田教明氏(長崎大学)は「デジタル技術とAIが拓く次世代矯正歯科医療―診断・治療シミュレーションへの応用―」と題し、デジタルセットアップを用いた歯の移動量の定量化や治療シミュレーションについて、良好な結果のみが提示されやすいことによる選択バイアスを指摘し、その結果を批判的に評価する視点と、臨床における実践、エビデンスを示した。

 また築山鉄平氏(福岡県開業)は、「コレクティブインテリジェンス」というコンセプトのもとに行っている、アライナー矯正治療と歯周治療・補綴治療との連携について解説し、近藤尚知氏(愛知学院大学)は、インプラント治療を中心として、口腔内スキャナーなどのデジタルデバイスの臨床応用について論じるなど、デジタル技術の可能性およびその限界や術者に求められる診断力をあらためて問い直す講演が行われた。さらに、インハウスアライナーのデジタル設計から院内製作までを扱うハンズオンセミナーや、ダイレクトプリントアライナー、口腔機能管理などをテーマとした講演も催され、多岐にわたるプログラムをもって閉幕した。

 なお、本学術大会は9月28日(月)から10月31日(土)までWEBでの視聴期間が設けられている。

 次回の本学会学術大会は、2027年9月12日(日)、東京都にて開催予定である。

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