学会|2026年11月6日掲載
多くの日本人演者が登壇し、好評を博す
American Academy of Periodontology 112th Annual Meeting in SEATTLE開催
さる10月29日(木)から11月1日(日)の4日間、Seattle Convention Center、 Arch Building(米国シアトル)において、American Academy of Periodontology(AAP)112th Annual Meetingが2年に1回行われる日本歯周病学会および日本臨床歯周病学会との共催として開催された。
大会初日には、10th Pan Pacific Session「Innovative approach in Periodontics and Implantology」が行われ、日本から⼩川雄⼤氏(東京都開業)が歯周組織再生療法の予知性を高めるための新しい治療方法について、大月基弘氏(大阪府開業)がインプラント周囲炎の治療を成功させるためのポイントについて、中山洋平氏(日本大学松戸歯学部)が歯周組織再生療法における術後早期の創傷治癒が治療結果へ与える影響について、片渕三千綱氏(米国開業)が下顎前歯部における歯肉退縮の原因と分類、治療選択について、それぞれ講演を行った。
大会2日目には、「Masters of Periodontology: Rooted in the Past, Leading the Present, Envisioning the Future」という題で、Ana Becil Giglio氏(米国開業)による会長講演および、Sonia Leziy氏(カナダ開業)、Michael K McGuire氏(米国開業)、Purnima Kumar氏(米国・ミシガン大学)、Edward P Allen氏(米国開業)らによるパネルディスカッションが行われた。インプラント治療はすぐれた治療法の1つであるものの、これまで以上に天然歯を残すことが強調された。デジタル技術の活用についても議論されたことが特徴的であった。また、パネリストらの長期症例やこれまでの歩みを示した動画も随所で披露された。
2日目の午後には、セッション「Lost Art or Lost Cause: Treating Furcations」が行われ、日本からは奈良嘉峰氏(神奈川県開業)が登壇。根分岐部病変を有した歯周病患者に対する治療方針や歯周組織再生療法を成功させるための条件を解説し、Ⅲ度の根分岐部病変を有している歯においても、適切な症例選択と手技によって保存できる可能性があることを示した。
このほかにも、2日目には多数の日本人演者が登壇。辻 光弘氏(島根県開業)が歯周病学の進歩について、蓮池 聡氏(日本大学)が歯周病と呼吸器の関連について、前川祥吾氏(東京科学大学)がエンド・ペリオ病変をともなう歯の治療ポイントについて、講演した。
この日の夜には、ディナーパーティー「Perio Samurai Night」(日本歯周病学会、日本臨床歯周病学会、株式会社モリタ共催)も催された。参加者らは互いに交流を深め、寒い街の一角は熱気にあふれた夜となった。
大会3日目には、メインホールにてVanessa Frazão氏(ブラジル開業)、Anton Sculean氏(スイス・ベルン大学)、Dmitriy V Ivanov氏(米国開業)らが、根面被覆術と軟組織移植術について講演。結合組織移植術(CTG)について、遊離歯肉移植術(FGG)と比較などをしたうえであらためてその有用性が語られ、採取やトリミング、位置づけの仕方などの実践的な内容が解説された。
午後のメインホールでは、「Seamless Synergy: Crafting the Ultimate Interdisciplinary Dream Team」をテーマに、Gonzalo Blasi氏(スペイン開業)、Ignacio Blasi(米国・メリーランド大学)、George Mandelaris氏、Brian Vence氏(ともに米国開業)らが登壇。各分野に精通した専門医が連携することで得られる治療結果や、そのための治療戦略が症例を通じて紹介され、インターディシプリナリーアプローチを効果的に進めるためのポイントが語られた。
この日は展示会場の1画に設けられたGlobal Speaker Pavilionにて、吉野宏幸氏(埼玉県開業)が歯間乳頭の再建について講演。日本人はもちろんのこと、各国の参加者らも多く駆け付け盛況となった。
3日目の夜には「シアトルワイナリーディナーパーティー」(日本歯周病学会、日本臨床歯周病学会共催)が開催された。モダンな建築が特徴的なワイナリーを貸し切り、多くの会員が豪華なディナーとワインを嗜みながら親睦を深めた。
大会最終日にはトップバッターとして佐分利清信氏(愛知県開業)が、ステージⅣの歯周炎かつ不正咬合をともなう患者の症例を複数供覧し、包括的な歯科治療について講演した。続いて水谷幸嗣氏(東京科学大学)が、日本の高齢者が増加している現状と、重度歯周炎のある高齢者に対してのアプローチ法について解説。レーザーを用いた歯周組織再生療法の有用性や、その活用方法を示した。
大会最後のセッションでは、宮本貴成氏(米国開業)、Jay T Patel氏(米国・テンプル大学)が、AIを活用した、歯周病のリスク評価や患者さんの行動変容を促す方法、SPT(歯周病安定期治療・メインテナンス)を継続的に支援する方法などについて講演。歯周治療におけるAIの革新的な活用方法が幅広く紹介された。
なお、大会2、3日目には企業展示およびポスター展示が行われ、多くの参加者が足を運び、会場全体が大きな賑わいをみせた。また、これまではインプラント周囲炎に関するテーマが多くみられた本会だが、今回は軟組織にフォーカスしたテーマが散見され、トレンドの変遷を感じさせた。
次回は、きたる2027年9月16日(木)から19日(日)の4日間にわたり、米国のボストンにて開催される予定である。