学会|2026年11月4日掲載

在宅歯科医療の課題と可能性を議論

第26回日本訪問歯科医学会開催

第26回日本訪問歯科医学会開催

 さる11月1日(日)、御茶ノ水ソラシティカンファレンスセンター(東京都)において、第26回日本訪問歯科医学会(野坂洋一郎学会長、守口憲三理事長)が、「あきらめない 届く訪問歯科医療を目指して~広げよう在宅歯科医療の可能性~」をテーマに開催された。

 冒頭、野坂学会長は、高齢化が進むわが国における在宅・訪問歯科医療の重要性に言及し、本大会が参加者にとって学びの多い1日となることへの期待を示した。

 午前のシンポジウム「在宅患者への訪問歯科診療」では、米永一理氏(日本大学)が座長を務め、3名のシンポジストが登壇した。吉田一生氏(厚生労働省大臣官房審議官)は「在宅患者への訪問歯科診療における課題」、高瀬義昌氏(医師、たかせクリニック)は「在宅医療現場における訪問歯科との連携―高齢者が健康に自分らしく暮らすために―」、齋藤慶子氏(日本医療ソーシャルワーカー協会副会長)は「在宅療養患者の生活を支える訪問歯科診療―その人らしい暮らしを支える医療ソーシャルワーカーの役割―」と題して講演した。

 吉田氏は、85歳以上の高齢者や要介護高齢者の増加にともなう在宅医療需要の増大をふまえ、都道府県が主体となった医科歯科連携や歯科医療提供体制の整備が必要であると述べた。続く高瀬氏は、在宅歯科医療では開口の指示に応じないなど対応が難しい認知症患者に出会うことも多く、そのような場合は地域の認知症サポート医などとの連携が重要であるとした。齋藤氏は、医療ソーシャルワーカーの立場から、歯科医療者との間では情報共有や顔の見える関係が十分に構築されていない現状を示し、互いの役割を理解し、連携を深める必要性を強調した。

 午後の教育講演では、長谷剛志氏(公立能登総合病院歯科口腔外科)が「訪問歯科診療における薬剤関連顎骨壊死(MRONJ)への対応~発症予防・早期発見・多職種連携の視点から~」と題して、症例を交えながら薬剤関連顎骨壊死に関する治療指針の変遷を解説した。骨吸収抑制薬などの使用を理由に歯科治療を回避するのではなく、患者の病態に応じて歯性感染源を除去し、口腔衛生管理を徹底することの重要性を強調した。

 特別講演「認知症と訪問歯科」では、白澤卓二氏(医師、お茶の水健康長寿クリニック)が、認知症の発症に関わる危険因子や、歯周病菌とアルツハイマー病との関連を探る研究などを紹介した。また、認知症患者について、咀嚼機能を維持し、噛んでおいしく食べることを支えることが、生活の質を保つうえで重要であると述べた。

 このほか、多数の専門セミナーや実習、ポスター発表などが行われ、本大会は盛会裏に終了した。なお、次回の第27回日本訪問歯科医学会は、きたる2027年11月7日(日)、御茶ノ水ソラシティカンファレンスセンター(東京都)において開催予定である。

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