第15代理事長に就任した日本顎咬合学会の「顔」

2020年4月号掲載

関連キーワード:

2020年4月号掲載

第15代理事長に就任した日本顎咬合学会の「顔」

人生100年時代「臨床力」を構築し、会員が誇りをもてるような学会を目指したい

 1979年に「国際ナソロジー学会アジア部会」として設立後、法人化を経て会員数がまもなく9,000名に達する国内最大規模の(特非)日本顎咬合学会。第15代理事長の黒岩昭弘
氏(松本歯科大学教授)は、歯科医療の果たす役割に注目が集まるなか、会務運営をとおして「顎咬合学」をどのように周知させていくのか——。


黒岩:上田秀朗前理事長のもとで発展した「真・顎咬合学」は、歯科の領域を越えさまざまな健康を支えるための科学として発展してきています。また2018年から竹内孝仁先生、南 清和先生らによって立ち上げられた「自立支援歯科学」は、「口から食べることの大切さ」について歯科・医科そして介護の方々が考察を加え、ともに連携しながら諸問題を解決する時代が到来したことを実感しています。

 人は単に長生きすることが目的ではなく、楽しく健康に長生きすることを願っていると思います。人々ができるだけ薬に頼らず、生まれもった顎口腔系の機能を使って咀嚼し、語らい、笑うことを支えるのが、真の顎咬合学であると考えています。少子高齢化が進展するなか、先進国の中でも特異な人口構造の変化に対して、本学会も国民が求めるニーズを探りながら、「咬み合わせ」に特化して集った私たちが国民の健康を支えてく必要があります。

 そこで私は、新たにテーマとして「人生100年時代-臨床力を磨く」を掲げました。本会の指導医、国内外の先生方が咬合を中心としたさまざまな分野(補綴学・歯内療法学・歯周学・矯正学・口腔外科学・小児歯科学・内科学・介護学・人間学など)の知識や技術を携え、ともに競い、刺激を受けながら咬合のエキスパートとして、どの分野からもどの年齢の患者さんにも長期にわたって良好で安定した結果をもたらす治せる力としての「臨床力」を構築していただきたいと思います。また、次世代を支える若手に魅力ある夢を提示し、実践するための教育研修体制も備えています。特に若い方には患者さんから喜ばれる経験をしていただきたいですし、指導医や認定医の皆様に対しても咬合フォーラムをはじめ認定医教育講演、指導医研修会など万全な体制を整えています。最終的には本学会会員であることに誇りをもてるような学会を目指していきます。

 そして本学会には、もう一つの新しい潮流として、広告開示可能な専門医制度の認証があります。日本歯科専門医機構が認定した専門医制度の基本的理念と本学会が目指す専門医制度とを重ね合わせると、「本学会員が歯科医師の行動原則に基づき、咬合を中心とした専門医としての質を保証・維持し、それが国民に認知・信頼され、受診先の選択の良い指標となり、中長期的にも歯科医療の向上の指標となり、これが国際的にも認知される制度」となります。これからの学会の方向性や認定医・指導医との関係など多くの議論を尽くし、本学会にふさわしい専門医を樹立したいと思っています。