2026年1月号掲載
インビザライン・ジャパンの「顔」
※本記事は、「新聞クイント 2026年1月号」より抜粋して掲載。
テクノロジーを人の情熱に寄り添う力として届けたい
2025年6月、「マウスピース型矯正装置」のパイオニア企業である米国アライン・テクノロジー社の日本法人のインビザライン・ジャパン社長に就任した土橋慎也氏。同社の理念である「Transforming Smiles, Changing Lives(すてきな笑顔で人生を変える)」をどのような戦略で具現化していくのだろうか。本欄では、土橋氏が考える今後の展開およびビジョンについてうかがった。
土橋:私はこれまで30年以上にわたり、医療機器業界で臨床現場と研究開発の橋渡しをしてきました。その経験から、真のイノベーションは現場の声からしか生まれないということを痛感しています。現場の先生方の課題やアイデアに真摯に耳を傾け、そこにテクノロジーの力を重ねることで、診療の質と患者満足を両立させることができます。
私は「顧客中心主義」を大切にしています。AIやデジタルの進化を現場に根ざした形で、先生方の力に変えていくことが私たちの使命です。当社の最大の強みは、AIとデジタルを駆使した臨床支援にあります。治療計画支援や遠隔モニタリングなど、現場の先生方の声を反映したソリューションを通じて、技術が人に寄り添う医療を実現してきました。また、私たちは、単なるテクノロジーカンパニーではありません。先生方が安心して診療に集中できる環境を整え、患者さんの体験価値を最大化します。
今後は「Patient Experience」を軸に診療の精度や効率だけでなく、患者さんの納得・安心・信頼という価値を高める支援を強化していきます。
日本では多くの方々が何らかの不正咬合を抱えているといわれています。私たちは、その潜在的な可能性に光を当て、正しい知識の啓発とデジタルの力を通じて活動してまいります。そのためには、歯学教育の充実ならびに教育の基盤づくりも不可欠です。
現在、日本の歯科界は人口減少・地域格差・人材不足など、構造的課題に直面していますが、私は今こそ変革のチャンスだと捉えています。
短期的には、現場に寄り添う支援の徹底を目指し、治療計画支援センター(横浜みなとみらい)を拠点に日本語対応AIツールや教育支援体制をさらに拡充し、「より早く・より正確に・より安心して」診療できる環境を整備していきます。中長期的には、AI・データ・クラウドを活用し、歯科医療を予測型へと進化させます。経験と勘による医療ではなく、科学的根拠とデータに基づく新しい診療モデルを目指します。その最前線で鍵を握るのは人であり、技術は目的ではなく、あくまで「先生方がより良い医療を提供するための手段」です。引き続き私たちは、テクノロジーを人の情熱に寄り添う力として届けてまいります。
2026年春、インビザラインの日本導入20周年を記念し、さまざまなイベントを検討中です。ぜひご期待いただければ幸いです。