萬人一語

コロナ禍で歯科にできる地域包括キュア

2020年6月号掲載

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2020年6月号掲載

コロナ禍で歯科にできる地域包括キュア

 新型コロナウイルスの感染拡大の影響によって、特に医療現場の最前線ではN95マスクなどが不足している。私の所属する千葉県・柏歯科医師会では、個人単位ではなく地域の歯科医師会ができる支援を考えた結果、会員へN95マスク寄付の協力を仰ぎ、4月15日に柏医師会に400枚を寄付することができた。

 実は4月7日付でN95マスクに関する取扱い方法について通達があり、周術期等で日頃お世話になっている病院へ個人的な寄付は行っていた。4月14日には病院医師のN95マスク寄付を切願するSNSでの投稿を偶然目にし、2009年の新型インフルエンザ以降、私のように多少のストック分がある歯科医院もあるはずだと考えた。保存状態が良ければ10年程度では性能の劣化は認めないという研究報告に加え、本会備蓄のサージカルマスクとの交換条件も会員へのさらなる周知と協力を後押しした。その時はまさに軽症者のホテルへの受け入れ直前であり、都内よりははるかに少ないとはいえ、新型コロナ感染症と最前線で向き合っている医療従事者の刻一刻の対応が迫られている一部を肌で感じた。

 柏市は地域包括ケアシステムのモデルである「柏プロジェクト」の土壌があり、すでに顔の見える関係があったおかげで、今回支援が実現できた。歯科は直接新型コロナ感染症を治療しないが、みずからの感染対策に取り組みながら私たちができる後方支援「地域包括キュア」も実践していきたい。地域の医療崩壊を救うために。