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グローバルセミナー、「UHCと口腔保健」をテーマに

2020年2月号掲載

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社会 2020年2月号掲載

グローバルセミナー、「UHCと口腔保健」をテーマに

深井保健科学研究所

講師を務めた牧野由佳氏。
講師を務めた牧野由佳氏。
 1月9日(木)、アルカディア市ヶ谷(東京都)において、深井保健科学研究所グローバルセミナー(深井穫博所長)が「UHCと口腔保健」をテーマに開催された。

 講師を務めた牧野由佳氏(WHOアフリカ地域事務所慢性疾患部署)は、口腔を含めた国際保健の潮流について整理。2015年に「持続可能な開発目標(SDGs)」が新たに掲げられ、「UHC(ユニバーサル・ヘルス・カバレッジ)」を目指していることが強調された。また、2019年9月に国連で行われたUHCハイレベルミーティングにおける政治宣言に口腔保健(oral health)の文言が盛り込まれたことにも着目し、WHOなどで口腔保健に対する取り組みが実施されやすくなる可能性を示唆した。

 さらに、近年では「Lancet」において初めて口腔保健の特集が取り上げられるなど注目が集まっているが、世界的にう蝕や歯周病などの疾患は非常に多く、その対応はけっして十分とはいえない。そのため、口腔保健を世界的に推進していくには、費用対効果の高い介入方法の整理や、各国のニーズに合った口腔保健にかかわる人材育成、よりわかりやすい口腔保健の効果を評価する指標の設置などの必要性が提言された。特に、人材育成に関しては、プライマリーケアのほうが圧倒的にニーズが高いにもかかわらず、現状はまったく追いついていないことが示され、参加者の関心を集めた。

 最後に、日本への期待として、質の高いエビデンスの創出や口腔保健の優先度を高めるための各国や組織、機関などへの政治的な支援が挙げられるなど、終始活況を呈した。