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2008年6月14日

深井保健科学研究所第7回コロキウム開催

今後の口腔保健・歯科医療の展開について議論される

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 さる6月14日(土)、富士ソフトアキバプラザ(東京都)にて深井保健科学研究所(深井穫博所長)第7回コロキウム「これからの地域保健・地域医療を考える」が開催された。本コロキウムは、雑誌『ヘルスサイエンス・ヘルスケア』の発刊にあわせて、年1回開かれている。今回は、その第7巻の執筆者を中心に、「1.歯科からの健康づくりのアプローチ(座長:植松 宏氏、医歯大教授)」「2.保健医療と保険医療を考える(座長:安藤雄一氏、国立保健医療科学院)」「3.口腔保健の近未来(座長:深井穫博氏)」の3つのセッションが行われた。
 会場では、本年4月に始まった成人対象の特定健診・特定保健指導制度における生活習慣病予防や全身の健康づくりへの寄与、あるいは高齢者を対象とした医療制度における地域包括ケアのなかでの全身の健康への寄与といった今日の保健医療の抱える課題を踏まえ、今後の口腔保健・歯科医療の展開について議論が交わされた。
 セッション1では、神原正樹氏(大歯大教授)が「歯科界の新たな戦略-口腔保健管理の方策」、花田信弘氏(国立保健医療科学院)が「国際生活機能分類と歯科医療・公衆衛生」と題して発表。神原氏は、これからの歯科界のあり方について「歯科医療から歯科疾患予防へと進んできたが、つぎの段階として口腔の健康への対応が重要」と述べ、「健康や機能をどう測定するか、生活健康行動でリスクを分けるなど、新しい指標が必要」と指摘した。花田氏は、「他のOECD諸国と比較しても日本の予防・公衆衛生支出が少ない」ことを指摘し、歯科医師法第9条の改正も念頭においた歯科における口腔衛生から公衆衛生への取り組みの重要性を強調した。
 その他のセッションでは、安藤氏が最近の国民栄養調査の結果から「若い人の低栄養化が著しいことが統計的にも示された」や、高柳篤史氏(埼玉県開業)が「歯の喪失・咬合崩壊への力の影響は大きく、咬合維持のためには8020では厳しく8023くらいは必要。歯の喪失がさらなる喪失を招くことから、影響がではじめる40代後半~50代でトラブルがなくても歯科医院に来る環境と、喪失のリスクを高める成人のう蝕への対応が重要」などの話題を提供した。
 なお、本コロキウムに関連する論文が掲載された雑誌『ヘルスサイエンス・ヘルスケア』第7巻第1号・第2号に関するお問い合わせは、深井保健科学研究所(Tel&Fax:048-957-3315、Email:fukaik@fihs.org、URL:http://www.fihs.org/)まで。