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2015年1月24日

「日本義歯ケア学会第7回学術大会」開催

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 さる1月24日(土)、25日(日)の両日、柏の葉カンファレンスセンター(千葉県)において、日本義歯ケア学会第7回学術大会(河相安彦大会長、濱田泰三理事長)が開催され、約130名が参集した。

 初日にはまず、一般口演11題および総会、そして特別講演などが開催された。特別講演では、「インプラントオーバーデンチャーの義歯ケア ―インプラント埋入位置と補綴装置の設計から始まる義歯ケア―」と題し、近藤尚知氏(岩手医大歯学部補綴・インプラント学講座)が登壇。顎補綴を専門分野とし、その後各種のインプラント補綴に携わってきた立場から、インプラントオーバーデンチャーの適応症や設計の原則、そしてメインテナンスについて述べた。とくに本学会において主題となるメインテナンスに関しては、各種清掃器具の特性の比較やアタッチメントとの相性、および清掃性に留意した設計の必要性などについて述べた。

 2日目には、「義歯安定剤のガイドライン作成のための研究結果と今後の課題」と題した公開シンポジウムが行われた。本シンポジウムは、文部科学省科学研究費 基盤研究B 研究課題番号24390439「義歯安定剤利用ガイドライン構築に関する基盤研究:マルチセンター前向き臨床研究」(2012年4月1日~2015年3月31日予定)についての経過発表を行うもの。日本国内の11施設(大学病院)による多施設前向き臨床試験によってパウダー状およびクリーム状の義歯安定剤の使用効果について調査し、将来的に義歯安定剤のガイドラインの作成に資するもの。会場では、「義歯安定剤のガイドライン作成のための研究成果と今後の課題」と題して河相氏が、「義歯安定剤のガイドライン製作のための研究課題と今後の展望」と題して佐藤佑介氏(医歯大大学院高齢者歯科学分野)が、「義歯安定剤のガイドライン作成のための研究成果と今後の課題」と題して木本克彦氏(神歯大大学院咀嚼機能制御補綴学講座)が、そして「義歯安定剤のガイドライン製作のための研究課題と今後の展望」と題して水口俊介氏(医歯大大学院高齢者歯科学分野)がそれぞれ登壇。全体を通じ、義歯安定剤に関する研究の世界的動向や研究デザインの傾向、および最新事情などが示された。

 標記の研究に関しては、現在118名の患者が被検者になってきたこと、データ解析が進んでいるのは96名であること、中間解析では統計的有意差は出ていないが、現在の統計学的パワー値は27.4%であり、今後のサンプル数の増加によって変化しうること、また、サブスケール解析では柔らかい食物では差が生じず、硬い食物になるほど効果が感じられやすいこと、また上顎よりも下顎のほうが効果がある可能性があること、そして最後に、「義歯安定剤は歯科医師の技術だけでは解決しない義歯の問題に対する補助材としてもよいのではないか」という見解が示された。

 なお、本研究は今後も継続されるとのことであり、日本発の新たな義歯安定剤のガイドラインの作成に引き続き期待が集まる。