Quint Dental Gate 歯科のコミュニケーションサイト

文字サイズ
標準
特大

トピックス


2018年9月24日

日本歯科医学会、公開フォーラムを開催

「子どもの口腔機能の発達を支援するために」をテーマに約200人が参集

ログインされますと、関連書籍が表示されます。
会員でない方はこちら
(※関連書籍がないトピックスは表示されません)

 さる9月24日(月)、歯科医師会館において、日本歯科医学会(以下、日歯医学会、住友雅人会長)による公開フォーラム「子どもの口腔機能の発達を支援するために」が開かれ、全国から約200名が参集した。

 本公開フォーラムは、子どもの食べることへの問題に取り組んでいる日歯医学会、重点研究委員会が開催したもの。日歯医学会重点研究委員会は、これまでさまざまな研究成果を公表してきたが、この成果をもとに、平成30年度診療報酬改定では、子どもの口腔機能の発達支援が公的医療保険の対象となることが決定した。新たな病名として「口腔機能発達不全症」が採択され、その症状が見られる子どもは、医療保険のもとで治療が受けられることとなった。

 こうした新たな枠組みの導入された今、この病名への理解を広げ、子どもの口腔機能発達のために、歯科医療従事者としてどのような貢献が可能であるのか、また、診断から治療という医療として今後求められる対応を学ぶことを目的に開催された。

 弘中祥司理事による開会の辞のあと、主催者挨拶では住友雅人会長から、研究成果が評価され、医療保険に導入された新たな病名「口腔機能不全症」への対応を、歯科界がいかに対応していくか、そのための早急な態勢づくりが求められているとし、「本フォーラムを契機として、子どもたちの将来にわたる健康に貢献すべく、口腔機能管理の重要性がより深く理解されていくことを願う」との提言がなされた。

 フォーラム前半は、木本茂成理事(神歯大)から「口腔機能発達不全症とは」と題した講演があった。2013年に歯科医療機関および未就学児の保護者を対象に日歯医学会が行った全国調査、「小児の食の問題に関するアンケート調査」の結果から、口腔機能の発達支援が歯科に求められている実態が示され、そのニーズに応えるべく作成された「口腔機能発達評価マニュアル」、そして口腔機能向上のために実践されているさまざまな療法が具体的に紹介された。

 後半は、登壇者が短い提言を行ったのち、木本理事を座長として座談会が行われた。登壇者は、乳児院の院長としてまた小児歯科医の立場から今井庸子氏(日本赤十字医療センター附属乳児院院長)、重度のアレルギー児だった経験から、食事と口腔のトラブルに関する指摘を田口 明氏(松歯大)、発達障害にみられる偏食や食行動の問題を当事者の立場から語った綿貫愛子氏(NPO法人東京都自閉症協会世田谷区受託事業みつけばルームコーディネーター)、自閉症児の保護者の立場から摂食にまつわる育児の悩みを語った田中由佳氏(NPO法人東京都自閉症協会理事NPOしょーとてんぱー代表)、自身の育児体験とともに摂食機能療法の専門家としての立場から田村文誉氏(日歯大)。それぞれの視点から多様な提言や報告がなされた。

 座談会では、口腔機能発達不全症の早期発見の重要性、保護者への支援、また医科と歯科の連携をいかに行っていくかなどの課題が話し合われた。また、乳児と幼児の患者が比較的多い小児科に対し、学齢期の子どもの受診も多い歯科が口腔機能発達不全症の改善に積極的に関わることの意義と役割の大きさが示され、フォーラムは盛会裏に閉会した。