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2019年8月31日

第8回日本包括歯科臨床学会学術大会・総会

「健やかなエイジングの探究 ~成長発育と加齢~ ライフステージに応じた包括歯科臨床」をテーマに

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 さる8月31日(土)、9月1日(日)の両日、神戸国際会議場(兵庫県)において、第8回日本包括歯科臨床学会 学術大会・総会(上谷智哉大会長、国賀就一郎会長)が開催され、379名が参集した。会場では、特別講演、教育講演、シンポジウム、ドクターセッション、コデンタルセッション、歯科医師と歯科技工士のコラボレーションセッション、ポスター発表など計30題が行われた。

 特別講演では、岡崎好秀氏(国立モンゴル医学・科学大客員教授)が「謎解き口腔機能学―進化から口腔機能を考える」と題し、動物の生態や他民族の食生活、口腔衛生と日本人を比較するなどしつつ、どのように口腔機能を育成していくのがより生物として自然に適い合理的であるかについて、多くの写真や映像資料とともに講演した。

 また「世界中で湧き起こる歯科への熱き期待―糖尿病からアルツハイマー病まで―」と題して西田 亙氏(にしだわたる糖尿病内科院長)が講演し、さまざまな論文を紹介しながら、口腔の健康が全身の健康へとつながる世界の潮流について解説した。「歯科医療の真髄は連続性にある」「医科にない視点から、口腔と全身の連続性を社会に啓発するのが、今の歯科界が求められているもの」と訴えるパワフルで淀みのない講演に、聴衆は目を離せない様子で講演に聞き入っていた。

 筒井照子氏(福岡県開業、本学会顧問)による教育講演「“咬合再構成”を再考する」は、小児期、成人後の症例が多数示され、口腔の異常や不安定の原因を突き止め、患者とともに除き、本来の口の形態と機能を回復していく咬合再構成を今一度俯瞰し、かつ詳細に確認していく時間となった。

 続く木原敏裕氏(奈良県開業)による特別講演「ライフステージにおける歯科医療とは」では、各ライフステージに合った歯科治療の発想や実際について語られた。これから迎える人生のイベント、あるいは高齢であれば残された時間が有限であること、治療後の患者の人生を良いものにするにはどうすればいいかという歯科医療側の思いを考えあわせた介入のタイミングと治療の進め方が具体的に解説され、その後のシンポジウムでは客席から多くの質問が寄せられ、場内は活気づいていた。
 
 また、本会で年に一度40歳以下の優秀発表者に贈られる「若手Dr. AWARD」(「筒井昌秀賞」から今年度より改称)には、「審美性と機能性の改善を目指した全顎補綴症例」を発表した青木隆宜氏(福岡県開業)が選出され、懇親会にて表彰が行われた。