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2019年11月17日

第12回 STEP Annual Meeting with R and PABC開催

「One STEP Ahead~一歩先へ~」をテーマに

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 さる11月17日(日)、福岡ファッションビル(福岡県)において、第12回 STEP Annual Meeting with R and PABC(STEP主宰:田中秀樹氏、R主宰:徳永哲彦氏、PABC主宰:安東俊夫氏)が、「One STEP Ahead~一歩先へ~」をテーマに260名以上が参集し、盛大に開催された。

 まず、田中秀樹氏(福岡県開業)の冒頭の挨拶の後、会員発表(1)が行われた。葉山揚介氏(福岡県開業)は、「接着技法を見直そう」とのテーマで、MIを意識し、臼歯部の再修復を接着処置にて行った症例を供覧。各手順をていねいに解説するとともに、接着処置においては口腔内の湿度の管理が重要である旨を述べた。馬場 聡氏(福岡県開業)と吉村聡美氏(歯科衛生士、はち歯科医院)は、乳幼児の口腔機能発達不全症への取り組みについて解説。口腔機能発達不全症は、年齢を重ねてから健全に回復させる困難であり、早期発見が重要であると述べた。また、乳幼児の食事の様子の動画などを供覧しながら、自院での対応について詳説した。林下富貴氏(長崎県開業)と田渕富久子氏(歯科衛生士、はやした歯科医院)は、インプラント術後の口腔内環境の安定について解説。患者との意思疎通の大切さを説いたのち、歯周病、カリエス、歯根破折のどの原因で抜歯、インプラント治療に至ったかによって、それぞれその後の経過観察、メインテナンスをどのように行っていくべきかについてわかりやすく説明した。

 続いては、秋永 恵氏(歯科衛生士、関西歯科衛生士勉強会 DH WORKS代表)が「歯科衛生士だからこそ伝えたい。健やかに美しくある為の生き方、暮らし方のコツ~ホリスティック思想のすすめ~」と題した講演を展開。「機能美を追求した生き方」を実践するコツについて解説するとともに、口腔内だけでなく生体のメカニズムを診ることが大切だと述べた。そして、提供する医療サービスが患者さんの生涯利益に直結するかどうかが重要であると述べた、

 午後の会員発表(2)では、田代 剛氏(佐賀県開業)が、デジタルデンティストリー、特にインターオーラルスキャナー(IOS)について解説。そのメリットとして印象精度が高いことなど、またデメリットとしてはスキャンする部位の深度が深い場合は精度が落ちるなどの特徴を述べた。そのうえで、IOSを用いた印象採得の方法と注意点について詳しく解説。前処置としてスムーズなマージン形成やしっかりとした歯肉圧排などの重要性を説いた。安河内康史氏(福岡県開業)は、一般歯科医師が行う矯正治療について解説。右側第二大臼歯の交叉咬合がある全顎矯正症例、アングルⅡ級症例に対して患者の希望に従いアライナー矯正を行った症例、早期治療としてプレオルソを用いた症例、マリナーアーチを用いた症例などをそれぞれ供覧した。そして、マルチブラケットだけでなく、さまざまなオプションを用いた矯正治療が有用であると語った。山尾康暢氏(福岡県勤務)は、「顎関節と口腔周囲筋を考慮した全顎治療」と題し、全顎的に矯正治療を用いて咬合治療を行った症例を供覧。咬合治療においては、ガイドの状態、咬筋・咀嚼筋の状態、クレンチング、顎位など、さまざまな咬合診断のチェック項目があり、精緻に治療を進めていくことの大切さを強調した。

 最後は特別講演として、徳永哲彦氏(福岡県開業)が、「Welcome to Occlusion based Practice~咬合を診る臨床への一歩~」と題した講演を展開。安心で安全な理想的咬合を実現するには、三次元的に正しい顎位を付与することが重要であると説いた。そしてそのためには、咬合高径、咬合力、咬合平面、咬合位、ガイドのコントールが必要であると述べた。また、最近は一見きれいな歯列に見えても下顎位が後退し、三次元的に歯列が乱れアングルⅡ級となっているケースが多いと述べた。そして、V字狭窄歯列の症例、叢生の症例、10歳で歯列が大きく乱れている症例、20年間患者を診続け、近年になって大幅な咬合再構成を許容してもらった患者の長期経過症例などを供覧し、会場の耳目を引いた。

 全体をとおして、非常に幅広いライフステージ、また1歯から全顎治療にいたるまで、幅広い治療を網羅した講演が展開された。聴講者の強い関心もつねに各講演に注がれ、一日をとおしておおいに盛況を博したミーティングとなった。