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2021年2月7日

関東歯内療法学会、第1回Web学術講演会を開催

「歯内療法における保存の限界を見極める」をテーマに

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 さる2月7日(日)、第1回関東歯内療法学会Web学術講演会(石井隆資会長)が開催された。本会は、例年都内で現地開催していた同学術大会を、本年はWeb上で開催したもの。同学会は、昨今のコロナ禍をふまえて「KEMは歯内療法でお悩みの臨床医に寄り添います」との学会テーマを新たに設け(KEMは同学会の略号)、かつ当日は「歯内療法における保存の限界を見極める」とのテーマで講演が行われた。

 まず、三橋 晃氏(神奈川県開業)が「根管治療~私があきらめる時~」と題して講演。三橋氏は、歯内療法をあきらめ、抜歯を選択する状況として大きくは「著しい動揺歯、残存歯質がない、破折歯」の3つが挙げられるとし、なかでも破折歯の診断のポイントについて、亀裂と破折の違いに言及しつつ、複数の症例を示し解説した。さらに、「残すか残さないか、それが問題」として、歯周ポケット、亀裂、患者要因、時間的要因、X線透過像、補綴的要因など、保存の可否を決定する要因の諸事項を詳説した。

 次に、和達礼子氏(東京都開業)が「抜歯になっても『納得・満足』の歯内療法を目指して」と題して講演。和達氏は、歯科医師が抜歯が妥当と判断する一方で、歯の保存にこだわる患者に対し、どのように根管治療あるいは抜歯へと導くかの患者説明について、複数の症例を挙げながら解説。まとめとして、「歯科医師と同じ知識をもたせること、症例に応じてある程度歯科医師が誘導しつつも患者自身に治療介入の如何を決めてもらうこと、歯冠修復の可否と骨の保存についても意識させること」以上が納得・満足の歯内療法につながるとした。

 その後、澤田則宏氏(東京都開業)が「歯内療法専門医が伝える保存の限界点」と題して講演。澤田氏は、保存と抜歯のボーダーラインと考えられる症例に対しては、患歯の現状と歯を残すことのリスクを十分に説明したうえで、最終的には患者にその如何を決定してもらうとした。そして患者決定の下、保存に踏み切った症例、および保存をあきらめた症例の双方を複数示し、それぞれの対応の実際を語った。

 最後に、西田太郎氏(日歯大)が「歯の保存の限界―根管内接着法を併用した意図的再植法―」と題して講演。西田氏は、破折歯の検査、診断および治療計画について概説。そのうえで、破折歯に対する接着技法を用いた根管内接着法と意図的再植術の術式および経過の症例を、動画を交え解説した。

 質疑応答・ディスカッションでは、西田氏が講演した破折歯に対する接着技法を含め、おもに亀裂歯・破折歯に対する根管治療や患者対応について、さらなる討論が繰り広げられた。

 なお、本会への参加は会員・非会員を問わず、かつ無料であったこと、また近年の歯内療法への関心の高まりもあってか、600名超の視聴があったとのこと。今後のさらなる活動に期待がもたれる。