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2021年7月11日

令和3年度東京医科歯科大学技友会主催学術講演会、Web配信にて開催

高橋英和氏による講演が行われる

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 さる7月11日(日)、令和3年度東京医科歯科大学技友会主催学術講演会(医歯大技友会主催、高柳 敦会長)がWeb配信にて開催された。同大学歯学部附属病院歯科技工士学校(2014年閉校)および同大学歯学部口腔保健学科口腔保健工学専攻の同窓会組織である「技友会」(高柳 敦会長)では例年、学術講演会や特別講演会として年に1、2回の講演会を行ってきたが、昨年は新型コロナウイルスの感染拡大により中止となり、今回は2年ぶりの開催となった。演者には高橋英和氏(医歯大名誉教授、全国歯科技工士教育協議会副会長)を招き、「デジタルデンティストリーと歯科技工の最新研究」と題しておよそ90分の講演が行われた。

 高橋氏は講演中、(1)デジタルデンティストリーとは、(2)スキャナー、(3)補綴装置の設計(CAD)、(4)除去加工とその材料、(5)付加製造とその材料、の5テーマについて解説。(1)ではデジタルデンティストリーを「数値を用いる歯科技工」と定義し、そこにおけるCAD/CAM技工の作業工程やデジタルならではの特徴について述べた。(2)では、各種口腔内/模型用スキャナーの方式や光源の種類、またスキャナーの性能を読み取る上で必要となる「真度・精度・正確さ」について、パウダーレスやカラー化など現在の口腔内スキャナーのトレンドについて、また各種スキャナーの単冠・片顎・フルアーチの場合における真度を比較し、スキャン範囲が広範囲になるほど不利になること、また口腔内スキャナーと模型用スキャナーでは「絶対座標」の有無が大きな差につながっているなどとした。また(3)では歯科用CADを「バーチャル空間内で支台歯に合った補綴装置を設計すること」と定義したうえで、総義歯の「DENTCAシステム」(DENTCA,クルツァージャパン)による設計例を示し、臨床はもちろんコロナ禍の中で学生教育における活用についても示した。続く(4)では、工業用のフライス盤を起点とする除去加工(いわゆるミリング加工)について、NC加工の原理や加工に関する各種用語の解説、歯科に存在する独特の問題点(加工物の小ささやオーダメイドが求められる点)、そして除去加工に用いられる各種材料(ジルコニア、アクリルレジン、コンポジットレジン、ガラス線維補強レジン、PEEK材)それぞれの特徴・メリット・デメリットについて示した。そして(5)では、付加製造法の種類と原理、液槽光重合法とその材料、粉末床融解結合法とその材料、およびセラミックの付加製造について解説。なかでもセラミックスの付加造形では、形態をつくってから脱脂する工程や、セラミックスとバインダーの比重の違いが問題になっているとしつつ、実用化された装置を紹介した。