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2021年9月12日

(一社)日本インプラント臨床研究会、第15回全員発表研修会を開催

オリンピックにちなみポスター発表優秀者にメダル贈呈

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 さる9月12日(日)、一般社団法人日本インプラント臨床研究会(田中譲治会長)による、第15回全員発表研修会が東京ミッドタウン・カンファレンス(東京都)およびWeb配信のハイブリッド形式にて開催された。昨年は新型コロナウイルスの影響で残念ながら中止となったため1年ぶりの実施となった本研修会。感染症対策として来場者数を制限し、会場でも受付時の検温や手指消毒用アルコールを同研究会から持参し増量するなど徹底していた。総勢145名(来場63名、Web参加82名)により、124題におよぶポスター発表を評価した。

 開会・オープニングにおいて田中会長は「コロナ禍での開催となるが医療人として現場での感染対策をしっかりとしながらも、オンライン上の参加者も含めどのように交流を深められるかをテーマに準備した。またオリンピックの年なのでポスター発表優秀者には金・銀・銅のメダルもお贈りする」と語り、実際にポスター発表では会場参加者が自身のポスターの前で症例の内容を説明する模様を中継したり、特設サイト上でポスター内容への質問を3日間受付けたりするなどの工夫が見られた。なおポスター発表は、コンピューター支援インプラント手術、骨造成&上顎洞底挙上術など7テーマに分かれ、重鎮とよばれる演者から新進気鋭の若手までが症例などを発表。会場参加者やWeb参加者がオンラインで投票し、順位が発表された。以下に各部門金賞受賞者の結果を示す。

・コンピューター支援インプラント手術部門:「動的ナビゲーションを使用したインプラント症例」(安倍稔隆氏、東京都勤務)
・骨造成&上顎洞底挙上術部門:「新しい骨補填材炭酸アパタイト顆粒によるGBR」(成瀬啓一氏、山形県開業)
・インプラント補綴&咬合回復部門:「24年および22年経過症例から導かれた磁性アタッチメントIODの優位性」(田中譲治氏、千葉県開業)
・デジタル&矯正歯科部門: 「Angle Class Ⅱ Division1不正咬合患者に舌側矯正装置を使用しインプラント治療を行なった一症例」(甘利佳之氏、東京都開業)
・ペリオ&インプラント周囲外科部門:「重度歯周病患者に対してインプラント治療を含む包括的治療を行った一症例」(岩野義弘氏、東京都開業)
・インプラントスタディ部門:「モノリシックジルコニアの長期経過症例」(佐久間栄氏、東京都開業)
・抜歯即時&即時荷重&顎補綴部門:「ボーンレベルタイプインプラントを用いボーンアンカードブリッジ(All on four)を行った1症例」(若井広明氏、東京都開業)

 なお本研修会ではポスター発表のほか、中居伸行氏(京都府開業)が「これからのインプラント治療のベーシック “Zero Bone Loss Concepts”日本語版発刊にあたって」が行われた。小社8月発刊の同書籍の監訳者でもある中居氏は、「いかにして骨吸収をゼロにするかという切実な問題に対してわかりやすく回答している」と内容を総括し、著者のTomas Linkevičius氏の臨床研究とともに、(1)上部構造のエマージェンスプロファイルの問題、(2)セメントリテインとスクリューリテインの問題、(3)インプラント埋入深度の問題、(4)歯肉厚みの問題、(5)アバットメントあるいは粘膜貫通コンポーネントの材質の問題、などについて自身の臨床例などを交えながら解説した。

 また午後の特別講演では同研究会所属の水口稔之氏(東京都開業)による特別講演「コラーゲンボールテクニックについて」が行われた。ムコグラフトなどのコラーゲンマトリックスをボール状に固く丸めることで、血液に触れると溶けてしまう製品の特質を抑制し、軟組織増生時のボリュームを維持するテクニックが発表された。同テクニックは、「Journal of Periodontics and Restorative Dentistry」(Quintessence Publishing、米国シカゴ)にアクセプトされ、8月の最新号に掲載された直後のテクニックであり、質疑応答においても多くの質問が寄せられていた。

 また講演後には、2019年8月より国際口腔インプラント学会(International Congress of Oral Implantologists:ICOI)世界会長を務めた鈴木仙一氏(神奈川県開業)が登壇し、開業医から同研究会で研鑽し、いまや世界の学会の会長になった自身の経歴を振り返り「世界のトップを目指して努力すればできないことはない」と若手会員へのエールが送られるなど、会場は終始意欲的な熱気に溢れていた。