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2021年10月2日

2021年ICOI日本支部総会学術大会、Web配信にて開催

「IMPLANT TOKYO 2021―過去から学ぶインプラントの再考―」をテーマに

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 さる10月2日(土)、3日(日)の2日間、2021年ICOI日本支部総会学術大会(本間憲章大会長、柳井智恵準備委員長)が「IMPLANT TOKYO 2021―過去から学ぶインプラントの再考―」をテーマに、Web配信にて開催された。ICOI(International Congress of Oral Implantologists)は、本部の米国を中心に世界各国支部を置き、25,000名以上の会員で構成されている世界最大規模のインプラント学術団体である。ICOI 日本支部(嶋田 淳理事長)は2017年に設立され、日本における良質なインプラント治療の普及と教育活動を行っている。また、ICOIの学会誌「International Journal of Oral Implantology(IJOI)」は2020年時点でインパクトファクターが「3.123」と発表されており、歯科・医科領域において高い評価がなされている。

 大会初日は講演セミナー1~5と大会長講演が行われた。講演セミナー1「保険収載されたインプラント治療の現状」では柳井氏(日歯大)が、本邦における広範囲顎骨支持型装置の保険導入の経緯と現在の臨床現場における機能評価について解説した。

 講演セミナー2「インプラント治療における抗菌薬投与の考え方 ~薬剤耐性とエビデンスから~」では松野智宣氏(日歯大)が、「QDI」 2020年1号で執筆した記事をもとに、臨床現場における正しい抗菌薬投与について解説した。

 講演セミナー3「インプラントにおける最後の手段」では鈴木貴規氏(東京都開業、ニューヨーク大)が、下顎管と垂直的に2mmの距離を確保できない場合の手段のひとつとして、下歯槽管傍へのインプラント埋入テクニックについて詳説した。

 講演セミナー4「サイナスリフトからショートインプラントへ」では林 揚春氏(東京都開業)が、低侵襲にショートインプラントによる治療を成功させるための即時埋入や逆回転ドリリングテクニックなどについて解説した。

 講演セミナー5「IODの積極的活用法から口腔内スキャナーおよび3Dプリンター義歯の臨床応用」では田中譲治氏(千葉県開業)が、2021年に保険導入もされたIODの臨床的注意点とデジタルとの連携について述べた。

 大会初日最後となる大会長講演「私の症例から 開業医未来へのヒント」では本間氏(千葉県開業)が、チタンインプラントでも金属アレルギーが生じるという最新の研究結果を示し、金属アレルギーの患者でもインプラント治療を享受できるようにジルコニアインプラントという選択肢を広くもつことが必要であると訴え、約10年にわたるジルコニアインプラントを用いた氏の症例を供覧した。

 大会2日目は、講演セミナー6~9が行われた。講演セミナー6「Socket Preservation & tissue management」ではMarius Steigmann氏(ドイツ開業)が、前歯部唇側骨の有無と厚みに基づく分類を示し、分類ごとのソケットプリザベーションおよびGBRを行う際のテクニックについて解説した。

 講演セミナー7「インプラント治療に必要な画像診断について」では本田和也氏(日大)が、上下顎ごとのX線、CT像ぞれぞれの読影ポイントについて解説。インプラント治療を行う際に注意が必要な上顎洞の状態や血管の走行などについて注意を喚起した。
 
 講演セミナー8「薬剤関連顎骨壊死の現状と課題」では里見貴史氏(日歯大)が、MRONJの現状と治療法、そして骨吸収抑制薬服用患者の抜歯とインプラント埋入について述べ、いずれにおいても主治医との連携が重要であると訴えた。
 
 大会最後となる講演セミナー9「オーラルフレイル健康寿命の延伸・ゼロボーンロスコンセプト」では鈴木仙一氏(神奈川県開業)が、口腔の虚弱(フレイル)が全身に及ぼす影響について解説し、自身が海老名市歯科医師会会長として主導した、産学官民が協力して行うオーラルフレイル予防の取り組みを紹介した。また、訳者として携わった書籍『ゼロボーンロスコンセプト』(クインテッセンス出版刊)で述べられているインプラント周囲骨吸収を起こさないためのテクニックについても述べた。

 感染症対策としてWeb配信にて行われた本会は、約300名の視聴者を集め盛会となった。10月3日時点では、次回の2022年学術大会は、きたる2022年8月6日(土)、7日(日)の両日、近藤尚知大会長(岩手医大)のもとWeb配信にて開催予定である。