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2021年11月9日

歯学系学会社会保険委員会連合、『歯保連試案2021』を上梓

外木会長より作成経緯と本試案の新評価軸が語られる

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 さる、11月9日(火)、AP東京八重洲(東京都)において歯学系学会社会保険委員会連合(以下、歯保連、外木守雄会長)による『歯保連試案2021』上梓に関する記者会見が開催された。

 冒頭の挨拶で外木会長は、『歯保連試案2021』の刊行にいたるまでの経緯を振り返るとともに、本試案が歯科医療に携わる方々に広く周知されることに期待を寄せた。なお、本試案は歯科系診療に適切かつ合理的な診療報酬はどうあるべきかを研究し、合理的な診療体系の実施に向けて活動してきた歯保連が、歯科における医療技術評価提案に科学的な見地から一定の見解を示したものであり、現在28の学会が加入している。

 その後は、外木会長より本試案の作成経緯が述べられ、前回の『歯保連試案2016』は、現行の歯科点数表をすべて網羅しているものではなく整備が必要であったと説明。そのため、歯保連が歯科系診療に対する適切かつ合理的な診療報酬はどうあるべきかを学術的に研究し、合理的な歯科系診療報酬体系の実現を目指した『歯保連試案2021』をもとに紹介した。

 引き続き具体的な算定方法について、それぞれの手術、処置、検査を行う際にどれだけの費用がかかるのかを積算し、診療報酬の点数としていると解説。その際に、重要な指標として術者歯科医師技術度を挙げ、術者の技術度区分をAからEの5段階にランク分けするとともに、それぞれに相当する国家公務員医療俸給表を基準にし、個々の処置にかかる時間と人件費から適正点数を計算していると詳説。処置にかかる適正時間については、日本歯科医学会(住友雅人会長)による「歯科診療行為のタイムスタディ調査2016年版 or 2019年度版(中間調査)」を参考にしていると説明した。

 しかし、診療報酬の点数を人件費・時間・材料費を基準にすると技術の研鑽や器械の性能の向上で治療時間が短くなるにもかかわらず、診療報酬が下がるというジレンマが発生する。そこで、前回2016年の策定時にはなかった歯科医療技術がもつ意義や貢献度を新たに評価するための基軸として、歯保連試案新評価軸における3つの項目(1)QOLの維持、改善効果(2)医療資源の有効利用(3)全身に与える影響、健康増進に対する貢献度を評価する、が盛り込まれた。なお、本基軸は今回の項目に該当したため何点あるいは何%加算するといったものではなく、今後の診療報酬改定の際に厚生労働省に評価していただく材料とするものであるとのこと。

 最後に外木会長は、本試案作成にあたり、28の加盟学会にコンセンサスを得たものであることを強調するとともに各学会担当の先生方に感謝の意を表した。

なお、こちらより『歯保連試案2021』の購入が可能。